氷の姫と自称普通の男子高校生の恋愛事情
モブのらいらい
第1話氷の姫と陰キャ
東雲高校。そこには氷の姫と呼ばれる少女がいた。
透き通るような白い肌。流れるような黒髪。胸はちょっと控えめだけど…とても綺麗な少女。
彼女には幼馴染みが居るらしい。
その噂は中学生の時からあった。
その幼馴染みの陰キャと氷の姫の物語である。
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2035年6月
僕ははこの東雲高校に転入してきた。
アニメとゲームが好きで、コミュニケーション能力が皆無な僕。
小学四年までこの街に住んでいた。だが、お父さんの転勤で幼馴染みを置いて去った。
彼女はこの東雲高校に通っているらしい。
だけれども相手が僕のことを覚えている確証がない。何故なら五年も前だからだ。たかが五年されど五年。
好きだったのはある。だからこの高校に転入した。親と離れて一人で。
一人でアパートに住んでいる。
漫画やゲームを大量に持ってきたから友達が出来ても貸し借りが出来る。
そう!俺は転入を機に変わるんだ。
中学時代、僕は荒れていた。今と格好は変わらないけど、喧嘩っ早い性格をしていた。
友人が馬鹿にされていたらそんなこと言うなら潰すぞ?と、脅し…。
知人が悪童に襲われそうになっていたら襲われる前に潰したりと…。
結構荒れていた。
だからこれを機に喧嘩からは手を引き普通の男子学生として生活する!
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「今日から皆さんと一緒に勉強する
先生…何故先に言ってしまうんですか?そこは普通本人に言わせるところじゃないんですか?
「…改めまして、篠宮省吾です。趣味はゲームをしたり漫画を読んだりすることです。皆さんよろしくお願いします。」と、応援団のポーズで言った。
皆ヒソヒソと話をしている。
「…格好いいね」
「そーねー。あれは九十五点ね。」
女子からはそんな声が聞こえる。
「はーい!しつも~ん!」
と、一人の女子から質問が投げ掛かってきた。
「どんなゲームをしますか?」
「うーん…格闘ゲームやFPSゲームをしたりするかな。」
「ほほぅ…」
む?男子達の目が光ったな。これは仲良くなれるかな?
「取り敢えずそこの席に座ってね~?」
先生に指定された席に着く。
そして時間は刻々と過ぎていった。
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中休み。それは転校生が質問をされまくる時間。その時間が五分しかないのでたくさん質問をされなかった。
昼休みになってから女子が沢山僕の机の回りに集まってきた。
流石にこの量の女子を相手にしたことはないので苦労した。
ちょうど質問の勢いが弱まってきた時を見計らって僕の幼馴染み、
「この学校に桐木雪って言う女の子がいるはずなんだけど誰か知らない?」
この質問を繰り出した途端、女子の勢いが一気に弱まった。
「またあの子ね…」
「学年で一番綺麗だからって転校生まで奪わなくても良いのにね…」
学年で一番綺麗?
確かに可愛くはあったが綺麗は人違いじゃなかろうか?
「その他に桐木雪って名前の子はいる?」
「居ないわ。この学校にはその名前は一人しか居ないのよ。でも、何処かで噂を聞いたのかも知れないけど近付かない方がいいわよ? 彼女、氷の姫って呼ばれてるから。何でも小学生の時に別れた幼馴染みに恋してるらしくって誰にも振り向かないのよ。」
「…雪…」
まさかそんなに俺の事を…
…いや、無いな。あの屈託の無い笑みを浮かべた雪がそんな塩対応になったわけがない。
きっと人違いだろう。そうだろう。
「少しいいかしら?転校生が入ってきたって聞いて来てみたんだけど…」
と、綺麗な黒髪に透き通るような白い肌の美少女が僕に話しかけてきた。
「貴方、名前は?」
「…篠宮省吾です。貴女が桐木雪さんですか?」
「篠宮…省吾…」
「桐木さん?」
「省吾!」と、抱き付かれてしまった。
あぁ、やっぱり彼女だったか…
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