部活を再建したら、あたし以外美少女まみれになりました。

惣山沙樹

01 プロローグ

 五月の大型連休が明け、高校生活が再開した。

 この休みは特にどこへも行くことも無く、家でゴロゴロしていただけ。

 クラスで久々に会う友人、青葉美礼あおばみれいは、そんなあたしの過ごし方に呆れているようだった。


「なんだったら、わたしのこと誘ってくれても良かったのに」

「休みの日にわざわざ外出るのダルいんだもん」


 ミレイは唇を尖らせ、その後ふうっとため息をついた。


「わたしからケイカちゃんを連れ出しても良かったなぁ」

「いや、ミレイから誘われても多分断ってた」

「ひどーい」


 それに……と理由を口に出しかけて、やめた。

 ミレイはまさしく「美少女」と言って差し支えない程の容姿の持ち主だ。

 元々の色素が薄く、肌は艶やかな白、髪は亜麻色のふんわりとしたロングヘアー。

 私服はまだ見たことがないが、どうせ可愛いに決まっている。

 何の変哲もない地味なセーラー服姿でさえ、ミレイが着ていると艶っぽく見えるのだ。

 そんなのと連れ立って歩いたら、ただでさえ低い自尊心が刺激されて仕方がないだろう。


「わたしはケイカちゃんとお買い物とか行ってみたいなぁ」

「はいはい、今度ね」


 あたしは気の無い返事をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る