第113話 えびえびしすたーず「ようこそ職員室に」

「先輩。えびえび姉妹大丈夫ですかね?」

「大丈夫よ。ちゃんとホストファミリーは信頼できる人にお願いしてあるから」

「先輩。誰ですか?」

「後輩も知っている人よ」

「私が知っている人ですか?」

「そうそう。お互い女子大生だった時に、ヨーロッパから留学してきたお友達がいるじゃない」

「……もしかして、彼女ですか?」

「信頼できる人でしょう?」

「……先輩。私の大学時代の忘れたい過去を思い出させないでください」

「三人でコスプレ、徹夜のゲーム攻略、深夜アニメの鑑賞大会、掲示板でのオタク文化論争、……懐かしいわ」

「だから、先輩も思い出させないでください!」

「良いじゃない。楽しかったのだから」

「そのせいで、何度留年の危機に巻き込まれたことか……」

「卒業できたから良かったじゃない」

「今でも、留年する悪夢を時々見るのですよ?」

「ちゃんと就職は良いところにできたのだから問題なしよ」

「先輩。就職で思い出しましたけど、霞が関を目指していたゼミの人達、覚えています?」

「一人は外交官になりたいとか言ってたわね」

「その子たちなのですけど……」

こうして先輩と後輩の二人の話は、宿直の話題として続いたのでした。

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