5.蜜月の終わりと「なろう」になるまで
目的は書き終わったので、あとはもはや蛇足というか〆になる。
蜜月の終わりは早いとかいうが、実際ネット小説の個人的な蜜月もあっという間に終わった。流行がネット小説にもやってきたのである。
ちなみにその流行とは「デスゲーム」。
山田雄介作品などに代表されるそれらがはやり始めると、それ一色、ということもないが、デスゲームは増えに増えた。ついでに週刊少年マガジンでもそれ系の連載は増えた。
そしてあらゆるオリジナル小説の時代はなぜか終わり、ほとんどがエタるなどして、流行の影響が見える作品ばかりになった、ように思えた。
もしかしたら自分の追っていた作品が相次いでエタったのもあるのかもしれない。
メモ帳にメモしまくって机に保存したタイトルに横線が増え、それを追いかける日々はなぜかいつの間にか終わっていた。そして時代はAAの時代になった。
ここからは話が加速する。
なぜかというと、ここから先は「AAの時代」から「なろうの時代」になって終わりだからである。
AAの時代というのは、わかりやすく言えば2ちゃんねるの時代だ。
やる夫とかやらない夫が出てきて、それらがAA(アスキーアート)を利用して物語を漫画的に描く。なんなら版権作品のキャラもそのまんま、あるいは姿と名前を借りて登場する。
そこさえ受け入れられれば、要は「誰もがテンプレ画を利用して描ける漫画」なので、自分はそっちへ流れ、数々の名作を目にすることができた。ちなみにこれが大学時代のことである。そのころにはラノベ文化もエロゲ文化もとっくに成熟していて、ツンデレをはじめとしたテンプレ要素は創作の世界に普及しきっていた。中学生から高校時代に確かにあったネット小説の黎明期と蜜月は、こうして終わっていた。
ちなみにAA時代の作品で有名なところだと、ゴブリンス〇イヤーなんかがそうである。(ちなみにあの作品はAA時代はゴブリン役が火星のゴキブリだったのでなにも違和感なく非常に良かったが、今では普通に小さいゴブリンが火星のゴキブリと同じことをするので、個人的には大変違和感を感じるのである。)
そして時代はエロゲの蜜月になっていた。
実際は高校生活~大学生活くらいだが、今度はネット小説ではなくエロゲ業界が百花繚乱していた。
今よりはるかに活気があったというか、当時の作品の生き残りが今に至るまでソシャゲになってたりするので、その先見性とかはわかってもらえると思う。
そういったわけでオリジナリティの百花繚乱はネット小説→AAやエロゲ界隈とステージが変わったので、自分もそのまま流れに乗った。
けれどネット小説とは違って、AAにしてもエロゲにしても、そこにあるのはテンプレ的な要素がキャラに透けて見える世界が主だ。
区分的には「キャラ小説」とか呼ばれるそれらは、それまでの「キャラ小説ではない小説」が溢れていた土壌に堂々と登場して、創作界隈に今日も君臨している。
そして別種となった創作界隈のその火が消えかけたころに就職、一年後くらいにソシャゲバブルが来て、そのまま社会人生活を続けていたら、いつのまにかなろう小説が流行っていた。
先に書いたように、それは結局ネット小説的ではなくてケータイ小説的ではあったけど、HPを自分で用意しなくていいだけとっつきやすいのか、過去よりはるかに作品数は多い。それだけでも素晴らしいことだとは思う。
しかしメモした作品をクリックして作者のHPに飛んで、作者独自の世界観に彩られた物語を作者手作りの世界の中で読む文化は、どこか遠くに行っていた。
かくして時代はなろうになって、それでおしまいだ。
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