音声4

キャンプ場から15分くらい車を走らせて、御崎神社の駐車場に到着しました。


子どもの頃に遊んだ境内は、あの頃と何も変わっていないけど、夜遅く訪れたせいか、見たこともない始めての場所に来たみたいな、気持ちになりました。


それは凄く不気味で、恐ろしく、不安になりました。

そうですね、自分が知っている場所、慣れ親しんだ場所が、自分の知らない場所に変わってしまったというよりは、始めから、そこはあたしの知らない場所で、それをあたしが覚え違いをしていただけ、あたしが自分を信じられないような不信感というか。


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男女ペアで3組に分かれて、神社裏手の弁天沼へ順番で行くことに決まり、甲斐くんと栞里、工藤くんと美優、高橋くんとあたし、の組分けができました。


組分けはキャンプ場での様子から何となく流れで決まりました。男の子たちがジャンケンをして一番は甲斐くんと栞里になって。


2人が出かけて残った4人は、初め他愛もない話をしていましたが、工藤くんが『5分以上経って戻らなかったら、あの2人やってるよな』って言い出してからは、ほぼ話題は甲斐くんの悪口になりました。


女関係でやらかした話や、喧嘩が強い工藤くんと高橋くんを従えて粋がっているとか、それは全て親の金の力だとか、昔処女を犯して出血が酷くて血を見て気絶してしまい、非処女しか相手にできなくなったとか。

美優もあたしも、栞里が処女のあたしたちをキャンプに誘った理由を察して、顔を見合わせて吹き出してしまいました。


15分経っても2人は戻ってこなくて『いよいよやってんな』なんて工藤くんと高橋くんはニヤニヤしていました。


でも流石に30分経っても戻ってこない2人が心配になって、みんなで沼に行くことにしました。

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