「forever love」~命の代償~
涼
第1話 命を奪う命
そこは、雪深い長野県の山肌。
そんな豪雪の中、雪に腰まで埋もれてまで、1人のカメラマンがある生物を、カメラに収めようと、凍死してもおかしくない、寒さ厳しいこんな場所で、身を震わせ、山の中で探し、探し彷徨っていた。
「流石にこれ以上はきついか。遭難してしまう可能性がある。…一度降りるか…」
と、カメラマンがそう呟いた瞬間、カメラマンが探し続けて、17年。
フォーエヴァー・ラブ
と呼ばれ、北海道や長野県の山に、生息されていると言われる、
ミヤマカラスアゲハ
を見つけたのだ。
ただし、只の普通のミヤマカラスアゲハではなかった。
それは、日本で生きる、約87種の中でも、日本で1位2位を争う、美しいチョウと言われる蝶で、その中には、青緑色が美しい黄金のように、虹のように、色とりどりの光を纏わせ、羽根の鱗粉を舞躍らせるように空を舞っていた。
慌ててそのカメラマンは、カメラでミヤマカラスアゲハをカメラのシャッターを押そうとしたが…、
「うわぁぁぁぁ!!!」
と腰を抜かした。
何があったのだろう。
カメラマンは大声を上げた。
そのカメラマンのシャッターを切ろうとした瞬間、その右手が指から手の甲へとどんどん火傷のように
「うぐ…!!あぁ…ぐあ――――!!!」
カメラマンは痛みに加え、その代償が何なのか、解った上でものすごい勢いで、不気味な大声を上げ、大笑いしたのだ。
「いるんだ!いるんだ!あ―――はははははははは!!」
大笑いするそのカメラマンは常軌を逸したように、唯、笑い続けた。
そして、30秒ほど痛みと興奮で、気が狂い、そのまま雪に埋もれ、誰も知らない山の中で、大笑いが少しづつ力を失くし、眠るように死んだ。
そう、彼の目的はフォーエヴァー・ラブと呼ばれる、ミヤマカラスアゲハの中でも、1/100万翅しか存在しない、とされている幻の蝶が居るのだ。
何故、その蝶が、『フォーエヴァー・ラブ』と呼ばれているのか…。
そう。
そのいるのかいないのか、伝説のように受け継がれたその蝶の力と言うのが、その並外れた美しさと…もう一つ、ミヤマカラスアゲハのもう一つの呼び名。
フォーエヴァー・ラブ
そのまま『永遠の愛』をくれる、この愛は永遠に続く、と多くの人々にとって、とてつもなく幸せの象徴となっているのだ。
しかし、その実、真のフォーエヴァー・ラブであるミヤマカラスアゲハは、とんでもない秘密を持っていた。
その秘密は永遠に死ねないのだ。
普通のミヤマカラスアゲハのオスは群れをつくり行動するが、メスは群れをつくらないため、メスはオスより希少価値が高いと言われる。
その為、メスは、中々卵を産まないのだ。
日本の、蝶々たちの中でも、ミヤマカラスアゲハは、31.4%減少している。
ミヤマカラスアゲハだけではない。
他の蝶も絶滅危惧種が何種類も確認されているのだ。
ミヤマカラスアゲハは、その能力で、森の安全を見守り続けている。
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