なんで抱きしめたの?

 えぇえぇえー⁈

 

 この流れで今言われんのかよーー‼︎

 

 

「あー、なんで抱きしめたかって…うーん」

「半額の為に偽りのカップルを装う抵抗感?

 嘘はいけないからその辛さからくるハグだ

 ったの?ごめんよー‼︎的な?」

「えっ⁈」

「そうだよね。和希のおばちゃん無駄遣いと

 嘘はいけませんってよく言ってたもんね」

 

 …えと。

 

 ぷはぁ

 思わず吹き出してしまった。

 

 優依の思考回路は、一体どうなってるんだ

 よ。 

 

「違うよ」

「え?違うの?」

「うん。」

「じゃあ、寒かったからか」

 

 …なんでそうなるんだよ。

 

「好きだから」

「えっ?」

 

 ギュ〜♡

 オレは優依を抱きしめながらもう一度言っ

 た。

 

「好きだから抱きしめたんだ」

 と。

 

「え?ほんとに?なんで?和希は、奈美が好

 きなんじゃん」

 ポロポロ泣きながら優依は、言った。

 

「なんで泣いてんだよ…」

「だって、だってずっと和希が好きだったか

 ら…嬉しくて…」

「え?優依は、陵が好きだったんだろ?」

「ううん。ずっと和希が好きだった」

 

 ⁉︎

 

 どういうこと⁉︎

 

 とりあえず家に帰り落ち着いて話をした。

 

「優依は、入学したときに陵に一目惚れした

 んだよね?」

「ううん。してないよ」

「和希こそ、夏祭りで奈美に恋の魔法かけら

 れたんでしょ?」

「え?かかってないよ。たしかに魔法にかか

 ったかもって言ったけど、アレは優依のこ

 と考えてたんだ。奈美さんじゃなくて優依

 のこと考えてたから、ある意味恋の魔法か

 もってことだったんだけど」

「え…、そうなんだ。観覧車は?」

「ん?観覧車?」

「そう。しゃがんでキスしたんだよね?」

「えっ?してないよ。バック拾おうとして、

 オレと奈美さんの髪が絡んだだけ」

「あー、そうなんだぁー…」

「てか、なんで陵と付き合ってたの?」

「奈美が幼馴染と早くに付き合いだすと別れ

 る確率高いって言うから…だから、わたし

 が陵くんと付き合って、奈美が和希と付き

 合えば他の人に取られないからいいかもっ

 て言い出して。」

「あー、なるほどー」

「陵ってそれ知ってるの?」

「はじめは、知らなかったみたいなんだけど

 途中でお互いの気持ちわかっちゃってね。

 奈美のこと好きだよね?優依ちゃんこそ和

 希好きだよね?みたいな」

「へー」

「だから、付き合ってたっていうか…カモフ

 ラージュ的な。でも、ずっと和希奈美のこ

 と好きだと思ってたー」

「オレも優依は、陵が好きなんだろうって思

 ってたよ。あー、じゃあオレたち好き同士

 だったのにジンクスに惑わられて遠回りし

 たのかー」

「うん。そうだね」

「もしかして、大学も一緒なのって偶然じゃ

 ない?」

「うん。奈美に聞いた」

 

「んもー、優依。大好き」

「うん。わたしも大好き」

 チュ〜♡

 

 オレたちは、小指を絡ませながらキスをし

 た。

 

 やっぱり、優依と赤い糸で繋がっていたん

 だ。

 

 続く。

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