じゃれ

 優依とじゃあねと挨拶を交わし家に入ると

 オレはドアの前で立ち止まった。

 

 …優依

 

 

 

 …

 

 しばらくよくわからないけど、そこから動

 けなかった。

 

 数日後

 

 帰り道オレの前を優依が歩いていた。

 

 …

 

 優依のリュックには、陵からもらったキー

 ホルダーとオレからの猫のキーホルダーが

 ぶら下がっていた。

 

 優依は、きっとキーホルダーがかわいいか

 ら、それだけの理由でつけているんだと思

 う。

 

 でも、なんか気になってしてしまう。

 

 そして奈美さんも同じように陵からの猫の

 キーホルダーがぶら下がっているのである。

 

「おーい、優依ー」

「あ、和希…何してんの?」

「何してるって学校帰りだろ」

「あー、そうなんだ」

「えぇ、そうなんっすよ」

「アハハ」

 

 

 …

 

「ねー、和希」

「ん?」

「小学生の頃は、こうやって朝も帰りもずっ

 と一緒だったよね」

「あー、そうだったな。」

 

 オレは歩きながら草むらの猫じゃらしを抜

 いて優依の首のあたりに猫じゃらしをシャ

 ラシャラさせた。

 

「キャッ、んもー、猫じゃらしー」

「ハハッ。優依の弱点首と耳〜、昔から変わ

 んないね」

「…うん。」

 

 変わったのは、オレたちの環境…

 

 

 その数日後

 オレは陵と一緒に帰っていた。

 

 あ、猫じゃらし。

 

「優依さ、この猫じゃらし首とか耳にサワサ

 ワされるのが弱点だよ」

「あー、奈美は脇腹ツンってするとダメなん

 だよ」

「マジかー。くすぐったがるのみてるとめっ

 ちゃかわいいよなー」

「わかる。ずっとくすぐってたいよな。てか、

 もうくすぐりの沼で溺れたいよなー」

「わかる‼︎」

 

 …

 

「あ、昔はね…」

「おー、そ、そうそう。昔…てか、ごめん…。

 優依はもう陵と付き合ってんのに、オレこ

 の前ちょっかい出した」

「あー、だって幼馴染なんだからそんなんい

 いよ。」

「…そうなんだ」

「うん。」

 

 幼馴染かー。

 

 オレは陵と別れたあとしばらく考えた。

 

 そもそも幼馴染とはどんな関係なんだろう

 と。

 

 兄妹でもないし、友達ともまた違うような

 …

 

 そもそもオレの彼女も幼馴染がいる。

 

 相手が陵だからいいけど、もし仮に彼女が

 いてその彼女の幼馴染くんがよく彼女と同

 じ部屋でゲームとかしてよく遊んでるって

 言われたらなんか嫌だ。

 

 幼馴染だから〜って言われても…

 で?幼馴染だから何?

 と思ってしまうかもしれない。

 

 ふとした時に、幼馴染くんが彼女にいきな

 りキスしてきたらどうする?

 ずっと幼馴染としてしか見てなかったのに、

 不意打ちでそんな事されたらもしかしたら

 もしかする可能性だってある。

 

 だからやっぱり幼馴染は、家族じゃないん

 だ。

 

 うんうん。

 

 

 …

 

 ところで幼馴染に彼氏ができたけど、初彼

 氏…

 

 オレって優依とどんな距離感で付き合えば

 いいのだろうか…。

 

 続く。

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