わからない
優依…
きっと陵と帰りたかっただろうな。
「なんか、ごめんね。オレと一緒で」
「えっ、何言ってんの?わたしが帰り怖いか
らって和希に一緒に花火行こうってお願い
したんじゃん。」
「あー、でもほんとはオレと一緒になんか帰
りたくなかったでしょ」
「全然一緒で助かるよ!だって家隣だから、
気兼ねなく送ってもらえるしー」
「…なんかオレパシリみたい」
「アハハー。てかさ、奈美とポテト買いに行
ったときどんな魔法にかかってたわけ?」
「あー、あれなー…」
「まさか恋の魔法じゃないでしょうね⁉︎」
…優依の事考えてたんだよなー。
ある意味恋の魔法かもしれない。
「そのまさかかもなー」
「えっ、マジか」
「ま、そんなことどうでもいいじゃん。」
「えー…、気になるー……なんかさー、幼馴
染ってなんなんだろうね」
…奈美さんもそんな事言ってたな。
「幼い頃から馴染むってやつ?」
「あー、まぁねー。」
…優依は、あの二人の関係を知っててこの
話をしているのだろうか。
わからん。
さっぱりわからん…。
「優依はさ、幼馴染ってどう思うよ」
「えー、それわたしに聞いちゃう?」
「うん」
「そうだなー、やっぱり複雑な関係だよね」
なんて言い出した。
え?
やっぱりなんか知ってる⁉︎
「奈美さんと陵も幼馴染じゃん」
「うん。」
「あの二人は、どうなんだろ」
「どうって?」
…やっぱり何も知らないのかなー。
わからん‼︎
奈美さんは、優依にどこまで話しているの
だろうか。
ちなみに優依は、陵を好きだと申し出たの
だろうか?
あーー…。
もう全てがワカラナイヨ…。
ニンゲンカンケイムズカシイヨ…
モウ、マイゴダヨ。
人間関係も心もそして言葉遣いも全て迷子
になっていた。
「ねー、和希」
「ん?」
「わたしは、和希とずっと一緒だと思ってた
よ」
…その言葉をあなたがいいますか。
しかも、どんな意味を込めておっしゃって
いられるのでしょうか。
優依さんよ。
オレだってずっと一緒だと思ってたよ。
「まー…やっぱり幼馴染は家族じゃないし、
ずっと一緒ってわけにはいかないよな」
「…うん」
なぜか寂しそうにうつむく優依。
いやいや、寂しそうにすんなよ。
こっちが寂しいっちゅーの‼︎
さっさと好きなやつつくりやがってさ…。
それからなんの進展もなく冬を迎えた。
ドタドタ
バーン‼︎
いきなり優依が走って来たかと思ったらオ
レの部屋のドアを勢いよく開けた。
「冬っ、冬っ、クリスマス〜。あなたに♡あ
げまぁす♡」
と指でハートの形を作る優依。
…
「どうした…」
「えとね、冬だけど春なの。」
「え?」
「あのー、奈美は春なの。でもー、和希は…
冬なんだ。」
「え?なんかクイズ⁈」
「ううん。はっきりとは、言えないんだけど
人にはハッピーとハッピーじゃない時があ
るのさ」
「あー、まあな」
「でさ、今度奈美とわたしと陵くんと四人で
クリスマス会しよ?」
と誘われた。
「え、話変わりすぎじゃね⁉︎」
「いいじゃん。で、クリスマス会やるの?や
らないの?やるよ‼︎」
「決定してんじゃん‼︎やるよって」
「ふふん。じゃ一人五百円でプレゼント交換
するからきちんとぶつ用意しときなよ」
…ぶつって。
「じゃあ、わたしは忙しいからもう呼ぶなよ
ん」
「いや、呼んでねーし」
「アハハ、んじゃーねー」
と優依は、帰っていった。
…なんなんだ。
台風みたいなやつだな。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます