二人きり
とにかく手早く買い物を済ませた。
「和希くんって決断力早いんだね」
「あー、他に欲しいものある?」
「ううん、大丈夫」
「なら、頼まれものも買ったし行こう。」
「うん」
…
それにしてもやっぱり歩くの遅いなー…
足になまりがついてるのかーってくらい遅
くねーかい?
…
今頃優依たちオレの部屋で…
急いで帰りたい…
全力疾走したい。
うおーーーっっっ‼︎
走りてー‼︎
今までこんなに走りたいなんて思ったこと
ないぞ。
今なら五十メートル走早く走れるかもしれ
ない…
…
「奈美さん歩くの結構ゆっくりだよね」
「あっ、遅い?油断するとついゆっくりにな
っちゃって。ペース上げよっか」
「あー、いいよ。ただゆっくりだなーって思
っただけだから。」
「そう?」
「うん」
と言いながらも実は走りてー‼︎と思うオレ
なのでした。
そんなオレたちは、ようやく家にたどり着
いた。
はぁ…
やっと…やっとついたよー…
優依ーー‼︎
ドアを開けようとすると、
「あ〜、そこはやめてーー」
と声がした。
バン‼︎
「優依!」
「あ、おかえり〜」
と手をヒラヒラさせる優依。
…
「おー、おかえり。ゲームお借りしてるー」
と二人は、なんと呑気にゲームをしていた。
はぁー…
よかったー…ってさ、良くないよ‼︎
意気投合して優依が尚更さ、陵を好きにな
ったりしてないよな⁉︎
「あー、このゲーム知ってるー。」
「あ、マジ?なら陵と対戦してみたら?」
オレは少し強引に二人の距離を縮めようと
試みた。
「うんうん、やってみなよ!はい!」
とコントローラを奈美さんに渡す優依。
そして二人は、対戦した。
なんだ。意外と普通に会話してんじゃん。
でも、なんで奈美さんは陵をふったのだろ
う。
お似合いだけどな。
奈美さん好きな人他にいるのかな…
それからゲームをして少し息抜きしたあと
また勉強して今日のお勉強会をおひらきに
しようとなった。
このまま二人でいい感じに帰れるんじゃね
?
とオレは思った。
しかーし‼︎
世の中は、そんなに甘くなかった。
優依が本屋に行くからと奈美さんは、優依
と一緒に行ってしまった。
…これは、優依と奈美さん。二人とも事前
に打ち合わせしていたんじゃなかろうか。
…
「あ、じゃあオレも帰るわ」
と陵も帰っていった。
そして数日後
「おーい、和希〜」
部活帰りに優依に会った。
もうすぐ家だし学校の人もいなかったから
ひと気も気にせず二人で帰ることにした。
「あー、優依。今部活終わったの?」
「うん!」
「そっか。」
オレたちは、肩を並べて歩いた。
「あ、ねーねー」
「ん?」
「陵くんって面白い人だね」
…
「えっ…あー、うん」
「でさ、奈美は和希のこと決断力早いし、面
白い人だねって言ってたよ」
ー優依…
オレは面白い人だねと褒められたけどそん
なことはどうでもよかった。
それよりも優依が陵を誉めたことが気にな
って仕方なかった。
優依ーー‼︎
やっぱり陵のこと好きなんですかーー⁉︎
もうオレの心は質問で溢れ返っていた。
いつから⁉︎
やっぱり一目惚れ⁉︎
友達との三角関係って知ってる⁉︎
どんなところに惚れたの⁉︎
なんでなんで⁉︎
なんで‼︎
どういうことですかー‼︎
と止まらない質問。
しかし心の中だからひとっつも返事がある
わけがない。
エンドレス質問なのでありました…
続く。
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