奈美さん

 もうわけがわからん…

 

 形とかどうでもいいな。

 うん。

 とりあえず落ち着こう。

 そしてひとまず整理してみよう。

 

 陵は、幼馴染奈美さんが好き。

 しかし、一度フラれている。

 

 そんな陵を優依は、好き?

 

 で、オレはもちろん優依が好き。

 いや、大好き。

 

 そして…奈美さんは、、、

 

 …

 

 コレは、整理したところでもう通行止め…

 

 ピンポーン

 と和希の脳内でバスの音が鳴った。

 

 次止まります。

 と。

 

 ううん。

 次止まりますどころかもう止まってます…。

 

 というわけで次の国語の授業も全く手につ

 かない和希なのでありました。

 

 ところで奈美さんは、さっき見た時は大人

 しい人のように見えたけど一体どんな人物

 なのであろうか…。

 

 これは気になる人物ですな。

 まことに興味深いことだ。

 友達の陵が好きな人。

 そして幼馴染の友達。

 さらには、幼馴染のライバル…?

 な人物なのだから。

 

 

 

 数日後

 テスト前で早く下校となった。

 

「和希ー‼︎勉強しよー」

 勢いよくオレの部屋に入る優依。

 

 …

 

「相変わらず元気だな」

「えぇ、お昼おかわりしましたので」

「あー、カレーな!うまかったもんな」

「うんうん。ですがカレー以外にも美味しい

 ものはたくさんございます。例えば手巻き、

 そしてある時は、わかめご飯、そして…」

「うん。わかった。食べ物講座ありがとう。

 じゃ勉強‼︎」

「あー、まじめか‼︎」

「まじめだ‼︎」

 テスト前に食べ物講座なんて聞いている場

 合じゃない。

 

 恋愛こじれでオレはうつつを抜かしていた

 ばっかりに今必死になり勉強しているのだ。

 

 

「ねー、和希まじめなくせにこの理科の実験

 のやつノートに、さっきのしか書いてない

 じゃん」

「あー、だって陵がさ…」

 

 

 あ…

 

 なんか言ってはいけないワードな気が…

 

「えっ、何?陵くんが何⁈」

 

 食らいつく優依。

 

 …

 

 優依って陵と奈美さんが幼馴染って知って

 んのかな…?

 

「あー、陵は大したことないんだ。それより

 この前奈美さんって人と一緒に歩いてたよ

 ね。仲良いの?」

「えっ、奈美?なんで下の名前知ってんの?

 ん?」

「あー、だれかが奈美って呼んでたから」

 とオレはとっさに嘘をついた。

 

「ふーん。奈美はさ、同じテニス部でさ。だ

 から一緒に部活とか行ったりしてるんだけ

 ど奈美がなに?」

「ううん。別に…あ、優依この実験のやつ教

 えて」

「あぁ、うん。」

 

 

 オレたちは、今までなんでも話したりバカ

 やったりしてたけどなんか…なにかがかわ

 ってきているように思う。

 

 あっ、間違えた。

 とっさに消しゴムを取ろうとしたら優依も

 同時に消しゴムに手を伸ばした。

 

 パッ

 

 同時に手を下げた。

 

 今までは、手を繋ぐのも普通だったのに…

 

 今じゃ少し触れただけで静電気が発生した

 かのようにパッとお互い手を急いで引っ込

 める。

 

 …

 

 

「あっ、そういえばさっ…夏休み花火大会行

 く?」

 慌てて会話しだす優依。

 

「あー、うん。行くよ、陵と」

「そっか、わたしも奈美と行くんだ。でも、

 帰り暗くてさ…よかったらみんなで行かな

 い?」

 なんていきなり誘われた。

 

「あー、帰り道危ないもんな。オレはいいよ。

 陵にも聞いとく」

「うん。よろしく」

 

 なんてあっさりオーケーしたけどさ、優依

 ってこの複雑な関係把握してんのかな?

 

 

 ⁉︎

 もしかして優依…陵目当て⁉︎

 だから一緒に行こうなんて…

 

 …優依ー。

 

 多分優依は、陵が奈美さんにフラれてるな

 んて知らないんだ。

 

 知ってたらみんなで行こうなんて言うわけ

 ないもんな…

 

 

 続く。

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