さっきの

 しばらく歩いてると陵がいきなり口を開い

 た。

 

 

「さっきの…」

 キーンコーンカーンコーン

 

 …

 

「えっ?」

「あー、やっぱり後でいいや」

「あぁ、うん」

 

 

 チャイムーー‼︎‼︎

 タイミング悪すぎーーー‼︎

 

 

 理科の実験が頭に入ってこない…。

 さっきの何⁉︎

 

 なんなんだよー‼︎

 気になるーー‼︎

 

 優依たちのことかな。

 ジーっと見てたし。

 

 さっきの子かわいいね…

 とか?

 それともさっきの子、歯に海苔ついてたね

 ?

 とか?

 

 …いや、海苔なんてついてなかったよなー。

 

 あ、さっきの人間だよね?とか?

 

 はっ…‼︎

 まさかさっきの女子二人いたよね⁈

 とか⁉︎

 

 あー…もーわかんねーよ。

 

 

 こんな時に限って席が遠い…

 

 ま、優依に関係ない話かもしれないもんな。

 うんうん。

 今はお勉強のお時間だ。

 集中集中‼︎

 

 …できるわけねーよ。

 

 オレは陵の方ばっかり気になってしまって

 いた。

 

 ジーっ

 

 陵よく笑うなー。

 しかもあんな爽やかな笑顔でさー。

 

 あーあ。

 オレもあんなに気さくに笑えたらなー。

 

 …

 

「おい、和希」

「んぁ?」

「ノートとんねーの?」

「あー、お構いなく」

 オレは陵のことで頭がいっぱいだ。

 

 ノートも

 さっきの…をずっと考えててそれしか書い

 てない。

 

 脳みそがすべてお構いなく〜と言っている

 ようだ。

 

 

 そしてほんとうになんのお構いもせず授業

 が終わった。

 

 

 急いで陵の元へ‼︎

 と思ったけど…

 なんかがっつきすぎるのも変だよなー。

 なんて思いクールに陵の隣に向かい

「教室戻ろうぜ」

 と言った。

「あー、そうだな」

 と陵が歩き出す。

 

 …さっきの

 ってやつの続きが聞きたい。

 でも、いいのか?

 こんなにがっついて聞いてもいいのか⁇

 

 向こうから言い出すの待つ?

 んー…

 

 なんて思ってたら陵が

「実験って楽しいよなー」

 なんて言い出した。

 

 ええーっ⁉︎

 そっちから話入るんだー…

 

 もしかしてさっきの…

 ってやつ忘れてんのかもな。

 なら、大した話じゃなかったらしいな。

 よかった。

 

「あー、実験楽しいよな。なにせ授業中に話

 することができるからな。一時間ずっと座

 って黙々と授業聞くよりお得だな」

 とオレは答えた。

 

「なるほどな。そういう考えもあるか」

 と納得する陵。

 

「うんうん。だからオレ実験とか実習大好き

 だな」

「ハハハ、あ、でささっき言いかけてた話な

 んだけどさ」

 

 

 ⁉︎

 不意打ちでいきなりやってきたさっきのー

 ーー‼︎

 

「あぁ、うん」

 冷静を装うオレ。

「さっきのすれ違った女子ね、髪が肩くらい

 の方さ…」

 

 あー‼︎‼︎

 優依じゃなくてお友達の方かーーー。

 よかった。

 

「うんうん。で?」

奈美なみって言うんだけどオレの幼馴染なんだ

 よね」

「あー、でもなんでよそよそしくお辞儀…?

 ってか、オレもさっきの髪長い方と幼馴染

 なんだ」

「へー。仲良いんだね。」

「まー、幼馴染だし。でも陵たちはなんでそ

 んなによそよそしいの?」

「実は…」

「実は?」

 

 …

「オレ奈美に告白してフラれてるんだー。で

 もまだ好きでさー」

 なんて言い出した。

「えっ、そうなの?」

「うん。だからかな。よそよそしいの…ハハ

 ッ。笑えるよね?」

 なんて爽やかに笑う陵。

 …

「陵…」

「ほら、早く教室戻ろうぜ」

「あぁ、うん」

 

 …

 

 ちょっと話が脳内で整理不能状態だ。

 

 あれ?

 てことは、

 優依って三角関係に巻き込まれてる⁉︎

 三角…

 トライアングル…⁉︎

 

 いや、オレも入れたら台形?

 正方形じゃない…

 だって歪んでる恋だし…

 ひし形?平行四辺形?

 

 えっ?

 

 どういうこと⁉︎

 

 続く。

 

 

 

 

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