第8話 暇を持て余した野郎の遊び
1、2、3、4、5⋯⋯
鼓膜を無い無いされた近藤はする事が無いので観客ではないフィールド部分に居る女の人の人数を数えて暇を潰していた。
⋯⋯あれ、めっちゃ小学生みたいの居るけど大丈夫なのか? コンプライアンス的な部分で。でもめっちゃ可愛いな、撫でたい。愛でたい。
おん? うわぁ⋯⋯こっちにはめっちゃ目付き悪い男⋯⋯男? 男居るやんけ!! うわーめっちゃイケメン。ものっすごい睨まれてるけど、俺この人に何かした?
うおー、パツキンの外人さん綺麗だなー。あ、ウインクされた。惚れてまうやろー。あんな人で卒業出来たら最高なんだよなぁ⋯⋯
わーお、ガングロの⋯⋯なんだっけ? そう、山姥だ。山姥ギャル一歩手間みたいなのいるやん。すげーな、映像以外で初めて見た!!
いいねぇ、目の保養だよ。皆が皆サービスしてくれるからおじちゃん目が幸せだ。
うーん、それにしても統一感が全くないよなこのメンツ。一体何の集まり何だろ? 下は小学生、上は熟女。スレンダーとナイスバディ、ムチムチ。
体型以外にもゴスロリ、外人、山姥ギャル、目付きだけで人を殺せるボーイとバリエーションも豊富。うーん、これならゴスロリの子と目付き悪いボーイ以外なら全員お相手願いたいわ。
流石にゴスロリの子はヒギィってなるだろうし、目付き悪いボーイは⋯⋯ね? 俺は男色の気はないんですごめんなさい。後俺よりカッコイイ男とか見てて悲しくなるからやめてくれ。切実に。
そんなくだらない事を考えている最中にも会場のボルテージは上がっていく。熱量が凄いなぁ。出来れば置いてけぼりにしないで欲しいんだけど。
半ば呆れながら事の推移を見守っていると、一段とデカい振動が伝わってくる。どうやら何かあって盛り上がり具合いが最高潮に達したんだろう。
ずっと耳がキーンとしているけど鼓膜は無事なのかな? 破れてないといいけど⋯⋯
途中参加の飲み会くらい盛り上がりについていけず、置き去りにされたままの俺だったが急に立たされた。そして、バスローブを剥ぎ取られた。
うん、スースーすりゅ。なに、この展開。
一度は縮こまったマイサンだったけど、皆のサービスのおかげで今は三分の一の純情な臨戦態勢になっている。
どうしよう、すっごい視線が刺さってる。
⋯⋯ゴスロリの子が前のめりになりながら凝視してくるのが、年齢層も相俟ってなんかすっごいイケない事をしている気分になっちゃう。ぶっちゃけ滾る。
眼鏡のスレンダーな子なんて大口を開けながら放心している。思わず「御無礼」って突っ込みたくなっちゃう。
それはさておき、やばい。俺って見られて興奮する性癖あったんだね⋯⋯びっくりだよ♣️
ズギュゥゥゥゥゥゥゥン
完 全 復 活 マ イ サ ン
最早抗う余地も無い程スピーディな完全体への進化。耳のイカれた俺でも理解できる静寂の後、身体を揺らす程の空気振動が襲ってきた。
そんな目で見ないでくれよ、興奮しちゃうじゃないか⋯⋯♡
かつてないほどに硬く聳え立つ我が子とそれを強調するようにポージングする俺。HAHAHA、日本なら通報もんだね。でもここでは合法なのだよ!!
あっ⋯⋯なんか中性的な美人さんが黒服に押さえ付けられてる⋯⋯あの子も可愛いなぁ。
凡そ三分後、顔を真っ赤にさせた丸洗い看護師が俺に何か語りかけてきた。でも聞こえないの。
⋯⋯あ、うん。座れ、と。了解。
あのー、コレ鎮めて貰えませんか? あ、ダメ? せめて抜いちゃ⋯⋯あ、ダメ? アッハイ。
知らないかもだけどね、ずっとスタンダップは辛いんだよ? 学んでくだしあ。
⋯⋯あーでも、なんか今なら触らずに発射できる気がする。どんだけ溜めてんのかわかんねぇもん。こちとら精通してからこの方、三日以上オナ禁した事ねぇんだよ舐めんなコラ!!
覚悟を決めた近藤はじっとりねっちょり粘度の高い纏わりつくような視線を看護師にぶっかけた。そう、やっている事はただ視姦である。
⋯⋯だが――
近藤の目は血走り、バッキバキにキマっていた。
身体からは濃い雄の性臭を、サムライソードからはもうこれイってね? と思える白い我慢汁を出し始めていた。
これに驚いたのは美人看護師である。生まれてこの方、男からこれほどまでに濃厚な欲望に塗れた視線なぞ向けられた事がないのだ。
その男のやる事なす事、全てが未経験。全てがこの世の理を超えたナニか。故に戸惑う。脳が、心が、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、第六感、雌の本能――人が人である為の、己が女であるが故に、備わった機能全てが一つのエラーに犯され、侵食されていく。
キャパシティを超えた衝撃により前後不覚となった看護師の深層心理は自己防衛に走った。
再起動を果たせず何も映していない目をした女は、目の前の雄の首に手を掛けて⋯⋯キュッとした。
男は一度ビクンッと震えた後、手繰る糸の切れた操り人形の様に地に倒れ伏した。
◆◆◆◆◆◆◆
観客、関係者、参加者、全ての時が止まった。後、轟音のような歓声。誇らしいわね。
ふふふ、私はアレをしゃぶった事があるのよ。まぁ色々と妄想しているみたいだけど、お前らは見るだけしかできないんだよ。
ふふふふふふふっ⋯⋯人生の最後に私のダーリンのチ〇ポを見れてよかったわね。地獄で閻魔様に自慢しなさい。
⋯⋯⋯⋯ムラムラしてきちゃったわ。
⋯⋯⋯⋯早く、シたい。他のメスを見ないでよ、ダーリン。
⋯⋯⋯⋯ダメ、もう我慢出来ない。今すぐ、この場に居るクソ女郎共を全て殺してしまえば、我慢シナクテヨクナルヨネ。
「スゥ――殺ル」
「ダメですッ!!!」
私の動き出しよりも早く、拗らせ処女軍団の黒服共に取り押さえられてしまった。一生の不覚というのも烏滸がましい程の失態だ。
「何故、邪魔、スル」
全身に殺意を滾らせながら、問う。
返事次第では死すら生温い絶望を与えてやろう。
「都合が合わず世界中に居るこの場に来られなかった権力者の皆々様へもこの催しは配信されております。正規のルートで手に入れられませんと必ずケチが付き、世界中から厄介が舞い込みます。
それは貴女様だけでなく男性様もそうなります。私共は男性の平穏を望みます。アレを見て正気を失う気持ちは痛い程理解できますが⋯⋯どうか耐えてくださいませ」
そうだった。危ない危ない⋯⋯ふむ、コイツ良いヤツだな。生かしといてあげよう。
さすがに私でも四六時中男を守りながらは戦えない。精々三日だ。男を一人にしてもいいのならどうとでもなるけど⋯⋯
「⋯⋯落ち着いたから離して。感謝する」
勝ち取った暁にはコイツに小くらいは飲ませてあげよう。私は恩返しできる女である。
早く始まらないかなぁ⋯⋯あの男に色目使った金髪と男装は惨たらしく殺す。配信されているのなら、魅せる殺し方しないとね。ふふふふ。
「やっぱりちょっと心配なので、開始まで目隠しさせて頂きます。ごめんなさい」
(⋯⋯前言撤回。最初だけは視聴者の事を考えずに、ただただ八つ当たりのように殺すわ)
この目隠しが本当に役に立ったと黒服が理解したのは、それから一分にも満たない時間の後であった。
◆◆◆◆◆◆◆
若頭に平身低頭謝る看護師。あろう事か景品の男を絞め落とすという暴挙をカマしたからである。
「フォックスが偶然見てなくてよかったな」
「はい⋯⋯申し訳ありません」
何故か許された看護師は、しっかり男を見てお世話をしておけとだけ伝えられ解放された。今は気を失っている近藤の横で流れるこのイベントの説明動画をボーッと眺めていた。
『期間は一週間、舞台はこの孤島。参加者の皆様には一人の男性を賭けて争ってもらいます。ルールは今から言う事だけ。既に誓約書で確認済みとは思いますが、今一度説明させて頂きます⋯⋯
一つ、参加者の皆様はこの円形闘技場内及び非戦闘スペースでの武力行使禁止
一つ、参加者以外の殺生禁止
一つ、開始後から15分間戦闘行為の禁止
一つ、参加者は全員事前に配られているカメラ内蔵ピアスを必ず装着し、そのピアスを外す事を禁ず
一つ、島外への脱出近視
一つ、参加者の皆様と観戦者の皆様は撮影及び配信行為の禁止
一つ、情報の漏洩禁止
一つ、景品の男性への接触禁止
以上の事を破った方及びその親族方の命の保証は出来かねますのでご了承ください』
シーンと静まり返る場内だが、既に全員了承してここに来ているのでそのまま説明は続いていく。
『ちなみに非戦闘エリアに設定している箇所の施設は24時間いつでもご利用頂けます』
ここで漸く歓声が上がる。
『続きまして参加者の皆様。皆様にはカロリーバー三日分、水1ℓ、マッチ一箱と銃火器以外の持ち込み武器一つが渡されております。飢えたくなければ、乾きたくなければ、男性が欲しければ、存分に殺し合って勝ち取ってください。それでは参加者の皆様には今から籤を引いてもらいます。書かれていた番号の出入口から出て下さいませ。全員が退出してから15分後にサイレンを鳴らしますのでそれがゲーム開始となります。
以上です、何か御質問は? ⋯⋯⋯⋯無いようですね。それでは皆様の健闘をお祈り申し上げます』
注意事項の説明が終わると参加者一人一人、籤を引いていきその番号の扉へと手を引かれていった。
観戦者は一様に興奮し、始まるのを今か今かと待ちわびているのか異様な空気感が漂っていた。
参加者全員が会場を後にすると、円形闘技場中心部に巨大なモニターが四枚運び込まれ、そのモニターにオッズが表示された。
賭け事、殺人鑑賞、男の視姦、美食の数々、美酒の数々、その他娯楽施設の数々が人を狂わせていく。
ここはこの世の全ての欲望が詰まった孤島。
この様な僻地が血に染まったとしても、誰も気にしない。
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・用語解説
男狩島
過去、この島に住む一人の女が男を産んだ
将来この男児の嫁となりたい女達は、先ずこの男児の出生を隠す為に、出産に関わった外部に繋がりのある者と男児の母と親族を全て殺害
残った島民で男児の嫁になりたい女達が集まり、男児を巡った話し合いを開始
既に殺人を犯して倫理観の消えていた島民は口論の末に島全体を巻き込んだ殺し合いに発展
殺し合いの最中、流れ弾に当たって一人で男児の面倒を見ていた女が死亡するもそれに気付かれず、男児は衰弱死
激闘の末に勝ち残った勝者が男児を迎えに行くも、そこには男児の死体が⋯⋯勝者は発狂し自殺
と、言った過去のある曰く付きの島
日本に似た貞操逆転世界でこの作品の舞台
1:500の男女比
男は人権があるように見えて全く無い徹底管理された飼い犬状態
現代日本にあるAVやエロ本のような物がたまに遺跡から何故か保存状態良く発掘される
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