フラグがおかしいこの世界《ギャルゲー》で、俺はどんな恋をすればいいんだろう?
しょぼん(´・ω・`)
プロローグ:胸キュンメモリアルが色々おかしい
第一話:一緒に帰らない?
「ねえ、
……は?
いや。ちょ、ちょっと待て。
流石にこのタイミングでそれはおかしいだろ!?
校門前で俺の目の前に立つ、落ち着いた長い紺色の髪をした、ブレザー姿の優しそうな美少女。
彼女は何処か恥ずかしげに、上目遣いにちらちらとこっちを見てくるけど……。
予想だにしなかった、非現実的な光景を見ながら、俺は内心思わずそうツッコミを入れていた。
──今日はこの
そんな初日の下校の時間。
目の前に立つ
──「あの……みんなにからかわれちゃうの、恥ずかしいから。ごめんね」
って。
本来の流れなら、こっちから声を掛け、誘いの言葉を断られるはず。
だから俺も確認を兼ねて、敢えて声は掛けた。掛けたけどさ。
彼女が素っ気なく塩対応してそれで終わるとわかっていたからこそ、俺は平然を装えてたんだぞ!?
それがどういう事だよ!?
「よ、よう。久しぶり」
とりあえずと思ってした、たどたどしい挨拶に振り返り、そこにいたのが俺だって気づいた瞬間、嬉しそうな顔をしてきた綾乃に、完全に虚を突かれた。
面と向かって見ると、ここまで魅力的に感じるのかってくらい、彼女の笑顔が持つ破壊力がヤバすぎで、さっきからずっと心臓がバクバクいいっぱなし。
「お、同じ高校だったんだな」
動揺を必死に抑えながらも、何とか自然に返したつもりが。
「う、うん。良かった。翔君が同じ学校で」
彼女はまたも想定外の反応を見せ、こっちの顔を赤くさせるのに十分な、破壊力のあるはにかみ顔を見せてきた。
しかも挙句の果てに、さっきのお誘いの台詞まで掛けられたせいで、俺は内心パニくりまくりだ。
だってそうだろ。
この世に生を受け、今年で二十六年目。
生まれてこのかた、彼女なんていた事もなんてないし。学生時代だって目立たない奴だったから、学園生活で必要な日常会話は交わせども、女子とのプライベートな会話なんてほとんど経験していない。
そんな男がこんな、ザ・ヒロインと言ってもいい、完全無欠の美少女相手に、まともに接するなんて無理に決まってるだろ!?
今までリアルでも、片思いくらいはした事がある。だけど、結局その時だって、殆ど遠間から相手を眺めて、それで終わりだったんだ。
それが、幾ら夢みたいなこの世界とはいえ、こんなありえない展開に簡単に適応できるはずないって!
だけど同時に、この世界を知っているからこそ、俺は強くこう思ったんだ。
このゲーム、フラグがおかしくなってるんじゃないかって。
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