第2話父と子の関係

僕には中学生の息子がいる。

去年までは、手を繋いで市民プールに向かっていたが、今は前髪とニキビを気にするお年頃。

反抗期がいつ来るのかドキドキしているが、現在は僕の事を、パパと呼び抱きついてくる。

外では、お父さんと呼び、スマホには大魔王と入れてある。

一緒に7年前から同居してないので、小学校低学年の時は僕がマンションから帰る時間が迫ると、よく泣いていた。

寂しい思いをさせた。だから、未だに二週間に1回は息子と遊んだり、勉強を教えている。

お年頃なので、嫁さんが外出時には男同士の話をする。

躾は嫁さんが担当して、それでも解決しない時は僕は説教は嫌いだから説諭で躾てきた。

息子の考えを聞き出して、間違えている所は訂正する。

甘いと言われるかもしれないが、暴力は恨みしか作らない。暴力は簡単だ。だから、時間を掛けて説諭で躾ているのだ。


その教えは間違えていないと信じている。これから先、息子はどんな道を進むか分からないが、弱い者は助ける事を口酸っぱく言い続けた。

僕は足が悪い。嫁さんはスタスタ、僕より遥か先を歩くが息子は僕のスピードに合わせて歩いてくれるし、バス停やバス車内ではお年寄りに席を譲っている。

僕は息子には大きな反抗期は無いと思う。

息子には好きな女の子がいるそうだ。

1学期までは、好きだった女の子が他の中学校に通うようになったので、新たな想い人を夏休み前にロックオンしたらしい。

「ま、チェリーボーイよ、精々高校生までには彼女が出来るといいなぁ」

と言うと、

「パパ、チェリーボーイって何?」

「エッ、童貞の事。略してDT」

「何だ、童貞か?」

「エッ、童貞の意味は分かるの?」

「うん」

僕は少し驚いたが、

「ま、パパも童貞だから。DTよ!仲間だね」

「嘘つき!とっくに卒業してるだろ?パパ、俺はどうやって生まれたんだよっ」

嫁さんの前では話せない話しはたくさんある。


後、8年我慢すれば息子と酒が飲める。自分は一生治らない病気をいくつか持っているが、出来れば酒がまだ飲める身体であって欲しい。

息子に、酒は飲みたいか聞くとビールなら飲みたいと言う。

タバコは吸うのか尋ねたら、それは20歳の時に考えると言っている。この前までは、絶対にタバコは吸わないと言っていたのに。

息子は洋楽が好きだ。意外だった。

この曲のどこがいいの?と聞いたら、全部

!と、バカ丸出しの解答を得た。

ルックスは若い頃の僕に似て、頭はママに似たようだ。

将来については、そろそろ考えないといけない。

大学に進学したいなら、進学校だし、仕事をしたいなら、工業科、農業科、調理科などの仕事に結び付いた高校を選択しないといけないし、専門学校で資格を取る方法でも良い。

彼のヤル気スイッチはまだONになっていない。

ただ、一つだけ息子に言い続けている事がある。

健康でいてくれ!

と。

僕が散々苦労し、臥薪嘗胆した結果未だに職に就けない辱しめを受けているからだ。

たった一人の子供。

将来、どんな花が咲くか楽しみである。


第2話は自分の息子の話しでした。各家庭、教育方針はそれぞれだろうと思います。

これから、息子はどんな壁に直面するか分かりませんが、静かに見守ろうと考えています。

見守る事も愛情ですからね。

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