第28話 原作との違い?

 ジェロードは淡々と自分を卑下し、「とてもじゃないけど優秀な御三家のみなさんには適いませんよ」ムーブをかましていく。


 ……おかしいな。

 こんなヤツだったっけ?

 でも実際に本編出絡んでくるのはもっとあとだから、学生時代の彼がどのような性格だったかまでは把握できない。

 そういう意味で言うなら……今のジェロードは独自オリジナルだな。


「ど、どうする、エナード」

「……ひとついいか」

「何なりと」

「近々学園では舞踏パーティーが開かれる」

「ああ。新入生の歓迎会を兼ねたアレか」

「だが現在学園はその舞踏パーティーを中止する方向で話を進めているのだ」

「中止? なんだってまた――なるほど。原因は俺か」


 ……勘が良いな。

 というか、何の脈絡もなく俺たちが真夜中にこの貧民街へと足を運び、舞踏パーティーの話題を出したことで何となく察したか?


 或いは中止せざるを得ない原因を作っているという自覚があるのか……いずれにせよ、話はしやすそうだ。


「君が何もしないというのであれば、俺たちはこのまま帰って学園長にそう伝える」

「どうぞそうしてくれ。学園に手を出す気なんてサラサラないんだ。それに、何十年と続く伝統ある舞踏パーティーを俺なんかのせいで中止にしてしまうのは忍びない。存分に楽しんでくるといいよ」


 ここでもあっさりそう言い切るジェロード。


 ……学園長は襲撃の理由として復讐をあげていた。

 

 ここでそれを追求してみるべきか。

 ――いや、きっと無駄骨に終わるだろうな。


 ヤツは嘘をつくことに関しては天性の才がある。

 鵜呑みにはできないが、かといってこの場でこれ以上彼を追求する術はない。


 組織を作っているといっても、どれほどの規模か分からないしな。

 おまけに本来ならそういった組織づくりは卒業後に着手するはず。


 だが、今の感じだとこのまま学園をやめてここを拠点とするつもりのようだ。


「あなたそがのつもりであるなら、私たちがこれ以上この場にとどまる理由はないわ。そうでしょう、エナード・ガディウス」

「……えぇ、そうですね」


 腕を組んでそう告げたサラ先輩に同意する。


「そうか。じゃあ今度は明るい昼間にでも訪ねてきてくれ。これでここの生活も悪くないんだぜ?」

「そうさせてもらおう」


 俺たちは踵を返して歩き始めた。

 ジェロード……ヤツは一体何を考えているんだ?

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