第16話 変態教師に鉄槌を

 予感は的中した。


 トレナを苦しめていた教師はギャスパーだったのだ。

 ここで死亡フラグをひとつ潰させてもらう。


「おや、君は昼間に出会った……トレナ・サンデールだな?」

「ど、どうして私の名前を?」

「同じ学び舎で過ごす仲間なのだからな。顔と名前くらいすぐに覚えたさ」


 実際はミアの情報力のおかげではあるのだが、ここは存分に利用させてもらい、死亡フラグを回避させてもらう。


「き、貴様……いきなり何をする……」


 ふらついた足取りでこちらへと近づいてくる先生――いや、ここは悪党と呼ぶべきか。


「しかし驚きましたな。眠れないから夜風にあたろうとうろついていたら信じがたい話を耳にしてしまうなんて……これは入学早々とんでもない事件に出くわしたようです」

「な、何を言っておるんだ!」

「それについてはあなたが一番よくご存じのはずでは? 特待制度を利用して自分好みの女子生徒を物色する――なかなかあくどい手口ですな」

「知らん! 俺は知らんぞ!」


 頑なに認めないつもりか。


 ならばこいつの出番だな。


「ギャスパー先生……これを見てください」

「な、なんだ? ただの水晶玉じゃないか」

「ただの水晶玉? ――なら、これでどうです?」


 そう言って俺は水晶玉へと魔力を込める。

 すると、そこにある場面が音声付きで映し出された。


「これ……先生ですよね?」

「バ、バカな!? なんだ、これは!?」

「私が生み出した新しい魔法ですよ。魔力で場面を記録できる……魔法省から正式に認可された正真正銘の魔法です」

「っ!? で、では、貴様が新しい魔法を続々と生み出しているという――」

「おや? あの時に名乗りませんでしたか? 私の名前はエナード・ガディウスですよ?」

「エ、エナード!?」


 あの不良生徒を吹っ飛ばした時に顔を合わせたので俺のことに気づいたとばかり思っていたのだが……どうやらヤツはその頃からトレナのことしか考えていなかったらしい。


 とんでもないスケベ教師だな。


「というわけで、これは学園側に提出させていただきます」

「待て! 話せば分かる! い、いくらだ! いくらほしいんだ!」


 金で解決を図ろうというのがいかにも小物って感じだな。


 ――もちろん、俺の答えは決まっている。


「丁重にお断りさせていただきますよ。さあ、行こうか、トレナ」

「えっ? は、はい」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!?」


 部屋を出ようとする俺たちをなんとか食い止めようとするギャスパー先生だったが、その騒ぎを聞きつけて他の教師たちが集まってくる。


 結局、ヤツは自分で自分の首を絞める結果となったのだった。

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