第2章 セオディン の 鏡

第15話 壊された部屋

 だれかに揺り起こされて目がさめた。まだ眠い目を擦りはっきりしないあたまで起き上がった。


 「リリ、リリ大変よ!起きて!はやく着替えて!」

 

 それは姉上?ララノア姉様?どうしたんだろ。


 ひどく慌てているわ。

 

 「たいへんなのよ!着替えて居間にきて!」


 「おはようございます、どうしたんですか?そんなに慌てて」


 わたしは着替えながら姉上に尋ねたけどララノア姉上はそういうと部屋をでていってしまった。


 わたしは着替えおわると階段をおりはじめた。


 なんだか慌ただしく使用人たちが動いている。


 なにかあったのかな、居間で声がする、泣き声?


 だれかが泣いてる?嫌な予感だわ、急いで行った方がいいわね。


 「どうしたん・・・ですか?」


 そういいおわったとき部屋をみて愕然とした。


 「これ・・・なに?」


 部屋はめちゃくちゃに壊されて部屋から庭にでる大きなガラスの開き戸はまわりの壁もろとも取れて庭に横たわっていた。


 部屋のあちこちに焼け焦げたような痕があり大きなソファは部屋の反対側でひっくり返って半分以上が粉々になって他のソファや椅子も同じだ。


 大きな長テーブルも真ん中くらいから折れてこの机って一枚板で作られて厚さだって10cm近くある頑丈な物なのに・・・。


 これは魔法で戦った痕だ・・・冒険者の勘がそういってる。

 

 「子供たちは?!あの子たちは大丈夫なの?!」


 いっしゅん子供たちの顔があたまに浮かび大声で叫んでいた。


 「大丈夫じゃ、だれも怪我人はおらん。」


 横からマーリンがわたしの肩を抱きしめてそういった。


 良かったと安堵してまわりをみてみると義父や義母姉上たちの顔もあった。


 ララノア姉上はわたしに近づいてきて


 「わたし、わたしこんなの見るのはじめてで慌ててあなたを起こしに行ったの、夜勤でもどってみたらこんなことになってて・・・びっくりしたでしょ?だれも怪我人はいないから安心してね。」

 

 ララノア姉上はわたしの手を取って泣きながら話してくれた。

 

 さっきの鳴き声はララノア姉上だったのね。


 姉上の手が少し震えている。義父がわたしに近づいてきて


 「子供たちはほかの部屋で朝ご飯を食べている安心しなさい。皆も向こうに移動しなさい。」


 義父がそういうとみんな移動した。

 

 マーリンはわたしの肩を抱き寄せて


 「わしはここを調べたいのでおまえは先に子供たちのところに行っていなさい。」


 「うん」


 わたしは義母たちのうしろをついていき子供たちのところにいくと子供たちは従兄弟たちといっしょにに朝ご飯を食べていた。


 「ははうえだあ~~」


 次男のクーリンディアがうれしそうにスプーンを持った手でわたしの方にそれを突きだしていた。


 次男のそばに足早に近づくと、となりの長女が次男に口うるさく御行儀がわるいとかいっている。


 「いっぱいたべるのよ?」


 「うん」


 次男が答えるとエリンは


 「『はい』でしょ?もうクーリンディアは子供なんだから」


 わたしはエリンの言い方がおかしくて吹き出してしまった。

 

 ほかの甥っ子姪っ子たちは何が起きたか知っているようだった。


 みんな成人してる子たちばかりだし当然か・・・・・・


 「リリ叔母上、うちの母が起こしにいってびっくりしたでしょ?母は起こすとき怖いからな、起きないとベッドから引きずり出される」


 真向かいに座って笑いながら横に立ってるララノア姉上をみてそういったのは一番下の十七歳になるエルノール。


 ララノア姉上は笑いながらエルノールを睨み隣の席に座った。


 子供たちはだいたい食事がおわっているみたいでみんな席を立って自室にもどろうとしていた。


 次男のとなりの席にすわり目のまえにだされた食事に手をつけた。カップスープにパンに目玉焼きとショルダーベーコンに野菜サラダ、このメニューは家の定番メニューで実家ではわたしたち専用に朝だされるものなの。


 さすがに和食が食べたいとはいえないわ。


 義母や姉上たちは思い思いに居間での出来事をはなしていた。


 食事がおわるころ、義父が部屋に入ってきて


 「修復は終わったから入ってもよいぞ」


 そう告げるとみんないちように安堵して居間に移動した。


 魔法ですべて元通りにしたみたいで、壊れた開き戸や折れたテーブル、あちこちに吹っ飛んでいるソファや椅子、焼け焦げた痕などなかったように元通りになっていつもの居間にもどっていた。


 いつのまにか甥っ子姪っ子たちも居間に集まってみんながいつのも席につくと義父が口を開いた。


 「皆も朝の出来事でショックを受けたものもおるじゃろうが、犯人は捕まったから安心してよいぞ!」


 「じじ様、誰があんなことをしたのですか?」


 甥っ子たちのまとめ役?をしているアノーリオン兄様の三男イシリオン、二十歳過ぎの院生で勉強家だ。


 「それは、いま取り調べている、心配ない、すぐに詳細はわかるであろうから。」


 イシリオンは義父の言葉に頷きながら何か考えているようだった。


 いつもはあまり口をださない義母が


 「さぁさ、みなもおじいさまがそうおっしゃっているのだからお任せしましょうね。」


 義母は義父の顔をみるとニコッと笑い何もなかったようにいつもどおりの会話にもどった。


 「お父様、わたくし『巫女の杜』に行きたいのですがだめですか?巫女たちが心配で」


 義父は少し考えて


 「そうだな、おまえや外で仕事をしているものもおるから、そのものたちは警護を付けるとしよう。マエグボル」


 「はい」


 「そういうことなのでアノーリオンに伝えてくれ。」


 「畏まりました。」


 執事のマエグボルは礼をして部屋を出ていった。


 そういえばセオディンいなかったなぁ~・・・・・・





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