『不都合な一角』

記憶は書き換えられる

私はとても幸せな家庭で

大切に育てられた


足蹴にされたことも

性凌辱(いたずら)されたことも

泥水に顔を沈められ 頭を押さえつけられたことも

私に盗癖があると 嘘をつかれたことも


不都合な一角は

私の視界にはもう入って来ない

そこにあるのに 見えはしない

記憶の蓋は 閉じられてしまった


その蓋がもし開けられてしまったら……

私はアンタたちを殺している

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る