『不都合な一角』

記憶は書き換えられる

私はとても幸せな家庭で

大切に育てられた


足蹴にされたことも

性凌辱(いたずら)されたことも

泥水に顔を沈められ 頭を押さえつけられたことも

私に盗癖があると 嘘をつかれたことも


不都合な一角は

私の視界にはもう入って来ない

そこにあるのに 見えはしない

記憶の蓋は 閉じられてしまった


その蓋がもし開けられてしまったら……

私はアンタたちを殺している

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