『ミイラ男』

小3の時お母さんに

お化け屋敷に連れてってもらったんだ

ろくろっ首や蛇女が 

怖がらせてくるんだ 


破れた障子から

突然人の手が出て来たり

私は怖くて

お母さんの手をずっと握ってた


でもお化け屋敷の途中で

お母さんは私の手を離したんだ

最初からそのつもりだったんだ

虐待の一種だったんだよ


手を離された私は一人ぼっちで

ギャン泣きしながら

血の池の辺りを歩いてたんだ


そしたらミイラ男の格好した人が

しゃべったらいけない規則なのか

無言で私と手を繋いでくれて

出口まで連れてってくれた


お母さんはそれを見て

チッと舌打ちをしたんだよ

私がお化け屋敷から出られずに

泣いてる所を想像してたんだよ


お化け屋敷のミイラ男の方が

実の母より優しかったよ

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