ポーション材料の薬草はパンティです~兄弟子の陰謀で禁止薬物を作って破門になったポーション職人。薬草の人工栽培に挑戦する。女の子達の穴から染み出した魔力が色々な薬草パンティを作るのだ~

喰寝丸太

第1話 破門

「パンパス、相談に乗ってくれ」


 俺は兄弟子のシャガからそう声を掛けられた。

 兄弟子は薬師ギルドマスターの息子でプライドが高い。

 俺に相談を持ち掛けるなんて珍しいな。


「何です?」

「師匠から課題を出されたんだが、作った事のないレシピだから上手くいかないんだ。作ってみてくれないか」

「ずるは駄目ですよ」

「何もそれを師匠に提出するとは言ってない。作る過程のお手本が見たいんだ。頼むよこのとおりだ」


 シャガが俺を拝む。

 作っている過程を見せるだけなら、構わないかな。

 どうせ、そのうちに俺も同じ課題を出されるはずだ。

 予行練習とでも思っておこう。


 俺の仕事はポーション職人。

 自分から言う事でもないが、俺は天才だ。

 まだ18歳だが、今までも師匠が出した課題は、1発で成功させてきた。

 エリクサーを作れと言われでもしない限り、成功させる自信がある。


「分かった。やってみる」


 シャガから差し出されたレシピを見る。

 課題だけあって、知らないレシピだ。

 薬師ギルドの資料室にもないと思う。

 材料は既に揃ってたので、ポーションは難なく完成した。


 甘ったるい匂いが工房に充満する。

 工房の扉が激しい勢いで開けられ、師匠が鬼のような形相で入ってきた。


「この匂いは禁止薬物のコルチカムじゃないか。【鑑定】」


 師匠が出来たばかりのポーションに鑑定魔法を使った。


「やっぱりだ。これは強力な媚薬で、使われた者は中毒になって廃人になるのだぞ。誰だこれを作ったのは? こんなポーションを売ったら死罪だぞ」

「パンパスです」


 兄弟子のシャガが俺を指差す。


「違う。俺は兄弟子に言われて」

「俺はパンパスが上級ポーションの調合に失敗して、穴埋めするために大金が必要だって泣きつかれて、家にあったレシピを見せたら強奪されて。師匠、止めたんです。パンパスの事は怒らないで下さい。初めて大きな失敗をしたから、動揺してたんです」

「嘘だ。シャガの仕業だ」


「ちょっと待て」


 師匠はそう言うと保管庫に行った。

 そして、納品するはずの上級ポーションを調べた。


「これは失敗作だ。パンパスお前に言いつけた仕事だな。どういうことだ」

「師匠、信じて下さい。全て兄弟子が仕組んだんです」

「お前は人のせいにするのか。いいか、失敗した分の上級ポーションの材料費を、工面して来い。そうすれば、禁止薬物を作った事を訴えないでやろう。水に流してやる。しかし、お前は破門だ」

「師匠ーっ」

「ええい、もう顔も見たくない」


 俺は工房を追い出された。

 上級ポーションの材料費を工面する為には借金するしかないな。

 これからの事もあるので、大目に借金しておいた。


 くそう、シャガのやろう。

 俺を嵌めやがって。

 借金は痛いけど、ポーションを地道に作れば何とかなるだろう。

 俺は薬師ギルドに顔を出した。


 カウンターに行き、俺はリストとギルドカードを出した。


「ここに書いた材料を注文したい」

「お待ちください」


 席を立つ受付嬢。

 しばらくして、帰ってきた。


「パンパス様、申し訳ないんですが、ギルド資格がはく奪されています」

「何だって! 理由は」

「禁止薬物の製造未遂です」


 くそう、師匠か、シャガのどちらかがチクったな。

 師匠は水に流すと言ったから、たぶんシャガの仕業だな。

 未遂にしたのは、レシピをシャガが持って来たから、詳しく調べられると困るんだろう。


 材料が仕入れられなきゃポーションは作れない。

 冒険者ギルドに依頼を出したいところだが、信用がない。

 薬師ギルドを経由しないと無理だな。


 自分で調達するしかないようだ。

 しかし、モンスターの出る森へ入って生きて帰って来れるだろうか。


 ふと、思った。

 薬草を人工栽培すれば良いのではないかと。


 薬草が出来る過程はこうだ。

 普通の草に魔力が染み込む。

 これが定着すると薬草になるわけだ。

 だが、その確率は低い。


 どういう訳か畑で草を1万本育てても、薬草にはならない。

 森の環境でないと駄目なんだ。


 推測するに、魔力の変化が薬草を作ると思われる。

 変化がないと駄目なんだ。

 複雑な条件があるに違いない。


 だが、天才ポーション職人を舐めるなよ。

 薬草が出来るのは、小さい的に回転の掛かった歪な石を投げるのに似ている。

 偶然、当たるのは、確率が低い。

 確率を上げるのには、的を大きくすれば良いんだ。

 つまり、薬草の魔力を定着させる機能をアップすれば良い。

 魔力定着ポーションだ。


 魔力に関するポーションは色々とある。

 なんとかなるはずだ。


 材料は野菜で何とかした。

 野菜には色々な効能がある。

 天才に掛かれば造作もない。


 俺は作って草に掛けてみた。

 草は一晩で枯れた。

 くそう、鑑定では無害って出てるのに。

 舐めてみたが体に変化はない。

 草にだけ作用するのか。

 野菜から作ったのにな。


 失敗だと思っていた試みは、偶然にもある結果をもたらした。

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