エンゲージリング

藤間伊織

ティータイム

ある昼下がり、灰崎はいざき氏と妻の香織かおりさんはお互いに休みをとれたことでゆったりとした時間を過ごしていた。

二人は灰崎氏のいれたコーヒーと香織さんの手作りクッキーを食べながら何気ない会話をしていた。しかし、ひょんなことから自分の身に起きた不思議なことに話題は移った。


「僕は君の話に興味があるんだ……。何か、そう、僕と出会う前に不思議な事……変な事とかなかったかな?」

灰崎氏がそう切り出した。


「そうね、あまりそういう類のものに縁はないけれど……あっ、一つ思い出したことがあるわ。あれはあなたと出会う数年前だったかしら……」


そういって香織さんは話し始めた。

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