(二)-14

 車が議員会館の車寄せから公道に出るとすぐに松ヶ浦の携帯が鳴った。

 松ヶ浦はすぐに電話を取った。

「これは幹事長」

 相手は党の幹事長だった。松ヶ浦には声でわかった。話の内容はもちろん『週刊文潮』の記事の件だった。

「ええ。申し訳ありません。すぐに火消しにかかりますので」

 そちらでなんとかせよ、という指示だった。当然、党としては四ヶ月先の国政選挙を心配しているのだ。

「ええ、もちろんです。では」

 松ヶ浦はポケットからハンカチを取り出して額からにじみ出てきた脂汗を拭き取った。


(続く)

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