ある日ある時あの場所

バブみ道日丿宮組

お題:12月の事件 制限時間:15分

 この国ではクリスマスは厳禁とされてる。

 そのため、他の国でよくあるライトアップなんてものや、性の四時間というのはない。

 ただ普通の日として過ごす。それがこの国だ。

 とはいえ、クリスマス限定商品のようなものは販売されてる。

 例えば、大量のショートケーキ、あるいは赤と白が目立つおかし。あるいはマネキンに赤と白の服を着せたり。もっともでいえば、カップル限定の商品や、ホテルの割引がより目立つ。

 恋人がいない僕はといえば、チョコレートケーキを買って一人で過ごす。クリスマスが本当にない。寂しい感じはしない。

 大学にも高校にも友だちがいなかった僕は動画投稿者。

 仮面をかぶり、ゲームをしたり、雑談をしたりという夜を過ごしてる。

 配信を開始すると、こんばんわと1000人くらいが集まってきた。

「メリークリスマス」

 皆同じセリフをチャットに書き込む。

 みんなクリスマスぐらい恋人と過ごしたらっていえば、『○○ちゃんと過ごすほうが有意義だよ』と赤スパを連打される。

 僕はなぜ人気があるのかわからない。ただ日課となったゲームを片付けたり、他の投稿者と話したりしてるだけで、毎月40万ほどの収益を得てる。

 そのため納税する身分となった。

『そういえば、クリスマスがない国があるみたいだよね』と、チャット。

 都市伝説に近いレベルで噂されるのが僕の国。

 理由を知ってるので言葉にする。

「クリスマスの夜。待てど待てど恋人が家にやってこなくて婚約者は苛ついてた。しまいには今日はいかないと言われて、部屋を尋ねることにした。そこでばったりと遭遇したのが浮気相手」

 それでカッとなってやったというやつだ。

 これはごく一部でしかないが、その日になんと1000人もの人が殺されるという事件が起きた。

 だからこそ、クリスマスはないほうがいいとのことでなくなった。

 もっともクリスマスという存在がなくなるわけではないので、依然として事件は起こり続けてる。そりゃぁ、毎秒誰かが死んでるのだ。クリスマスに死ぬ人もいることだろう。

『こないだの続きするの?』

「やるから、見ててくれる」

 いいよとか、やったとか、承認とか、いろいろが書き込まれた。

 彼らがいなければ、他人と過ごすクリスマスはなかった。

 配信をはじめると、物語が進む。

 僕の物語はいつはじまるのだろうか。

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ある日ある時あの場所 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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