異世界探索記 〜魔女の子と友達になるべくこの世界を渡り歩く!〜

大井 芽茜

第1話 異世界と蒼空

「え?」


(なんで私……ここにいるんだろう?それに…ここはどこ?)

「えーと、確か……山登りしてて…皆と」

 羅温 蒼空#らぬく__そら__#は土を払いながら立ち上がった。

 周りには気味が悪いほどにカラフルな葉っぱが生い茂り、恐怖を煽ってくる。


「あっ」

 コロッとポケットからペンが落ち彼女は空中でキャッチした。



「そういえばノートをこれで……」

 その言葉を出した途端、欠けかけていた記憶が彼女の脳に蘇っていく。



「そうだ。近所のあの小さな山を登って……ノートになにか書いたんだ。」



 ――少し前

「そんなのあるの?」

「あるある! 行かない?」


 蒼空は、学校の友達から願いが叶うノートの噂を聞いていた。

 そして、この日……友達と近所の山に登り、置かれていた例のノートを手に取った。


 書きなぐった跡があったり、しなれたページをめくりながら真っ白なページに書き込んでいく。


「みてみて!」

(『みんなとずっと仲間!!』)

 そう書いたノートを見せると、急に周りの人が馬鹿にするように笑いだした。



「えっ……何、急に?」

「じゃあ叶わないわ」


 ズサッ

 誰かが蒼空を蹴落とした。

 落ちる瞬間、死にたくないとの一心で木の枝に捕まりぶら下がる。……しかし、手を離せば死ぬことには変わりない。



「なに急に、助けて……!」

「ねぇ知ってる?この山にはぁ、もう1つ伝承があってね……もし、願いが叶わなかったら、他の世界に飛ばされて願いを叶えるチャンスをくれるんだって」



「たすっ……」

「いっつもイラついてたんだよね。ヘラヘラしててさ、落ち込んでいる時とかバカにしてたの?って感じ」

「元気なのはいーけどさ、空気読みなよ」



(もう……ダメっ)

「……っ!!」

「伝承で消してくれるなんて最高じゃん?神隠しっ?」



「ごめん。もうしないから、私が悪かったから……お願いっ!! 仲間でしょ!?」

 手は無意識に木から遠ざかっていく。



「え?あなたなんて……もう仲間じゃないわよ」

「――っいやああああああああっっ!!!」





「あっ……そうだ。私、死んだんだ。」

 彼女の手は酷く震えていた。何故自分が生きているのか、何故、ここにいるのか……なにも分からない。


「うっ…仲間だと思っていたのに……! なんでっなんでっ……」

 記憶と共に涙が溢れていく。あんなに楽しかった日々が一瞬で消され、最期の瞬間だけが頭に焼き付いた。

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