【足ふみスキル】足ふみするだけのスキルが無能と勇者パーティーを追放されたけど、僕の足ふみマッサージは女神の足ふみでした。聖女に溺愛されながら新しいメンバーを探しますので戻って来いとか知りません。

のすけ

第1話 勇者に追放される

「ロディ! おまえ追放~はい決定!」


 僕は馬車で王都に移動中のパーティーリーダーの勇者ワレイドから唐突にパーティー追放を言い渡された。

 後ろに座るパティ―メンバーの賢者エレナも冷めた目つきを僕に向けていた。


「 そ、そんな雇用契約だってまだ期限があるはずだよ」


「契約ぅ~? あああん、勇者さまと雇用契約とどっちが偉い? わかんねぇかな。俺様がルールなんだよ! おまえは俺に何の貢献もしてないから解雇なんだよ!」


「ぼ、僕だって、みんなの物資の買い出しとか、ダンジョン索敵とか色々頑張っているんだ! それにマッサージだって定期的にしないと…」


「あ~~~?? そんなのおまえじゃなくても誰でもいいだろ? 今回のダンジョンも速攻で逃げだしやがったくせに、なにが索敵だ。そもそも【足ふみ】てスキルがダサすぎるんだよ!」


「ぷっ、買い出しって、ロディそれ、ぱしりってことじゃない」


 勇者ワレイドと賢者エレナが、ゴミを見るような目をしながら、僕の存在を否定してくる。


「さ、さっきのダンジョンは退路を確保しないといけなく…」


「あ~、うっさい! ロディ、おまえは役立たずだ。よってクビ! まあお情けで王都まではこの馬車に乗せてやる。はい、この話終了!」


 勇者ワレイドは僕の話を遮り、一方的にクビを確定してしまった。そして、彼の興味はその手に持っている宝石に移っていた。


「まったくよ~ダンジョンでこの宝石見つけたら、ゴーレムが山のように湧いてくる時はあせったぜ~。しかし俺のナイス判断で最短ルートで脱出できたからな~さすがは俺様だぜ」


「ふふ、それ売ったらいくらぐらいになるのかしらね」


 勇者ワレイドと賢者エレナは僕の事よりダンジョンで手に入れた宝石の方がよほど興味があるらしい。


「しっかし、王都への街道だってのに、ガタガタ揺れまくりじゃねぇか」


 近年王都への魔物の襲撃が増えており、街道は荒れ果てていた。整地してもすぐに荒れてしまうのだ。


「僕が子供の頃は綺麗な街道だったのにな…」




◇◇◇




「じゃあな、クズ野郎! せいぜい新しい仲間でも探すんだな! まあおまえみたいな使えない奴はどのパーティーにも入れないだろうけどな!」


「やだ、ワレイドったら! うける~。早くその宝石売って、最高級ホテルで贅沢三昧したいわ~」


 勇者と賢者は僕を鼻で笑いつつその場を去っていった。そんな時に1人の少女が僕の元に近づいてくる。


「本当に……行ってしまうんですか、ロディ」


 声の主は聖女マリーナだった。輝く銀髪に、綺麗な青い瞳に透きとおるような肌、僕がパーティーに入るきっかけを作ってくれた美少女である。


「しかたないよ、認めてもらえなかった僕の力不足だよ、それにワレイドが言い出したら何を言っても聞かないからね…王都で新しい就職先をさがすよ」


「そんな、ロディはたくさんパーティーのために尽くしてくれました。それを追放だなんて、わたし納得できません…」


 マリーナはずいぶんと僕に良くしてくれたし、病気の妹の治療費が必要ということも知っている。それに僕をパーティーに勧誘した責任も感じているんだろう。


「いいんだマリーナ、今までありがとう。でも僕のために君がパーティーで微妙な立場になっちゃダメだ。君の夢を叶えるためにも勇者パーティーで頑張ってほしい」


「ロディ…」


「じゃあ、ここでお別れだね。またどこかで会えるといいね」


 そう言って、マリーナの元を去ろうとしすると、彼女は僕の袖をつかんできた。なんかモジモジしている。


「ロディ…その…最後に…その…あれ…」


「ああ、わかった、ここじゃ人目もあるし近くの宿屋にいこう」


 僕とマリーナは宿屋に向かって歩き始めるのだった。



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