第7話 胴田貫
「マッコリ爺さん、俺の倉庫にヘリの整備士をよこしてくれ、それとジェット燃料と7.62mm機銃弾、ハイドラ70ロケット弾の補給もだ」
インベントリ経由でベルUH-1Bガンシップを地球にある俺の倉庫に戻した俺は、馴染みの武器商人に電話をしてヘリの整備と補給を依頼した。
『イチロー、お前今度はいったいどこで戦争をしとるんだ?』
“女神様謹製”のスマートフォンのスピーカーから武器商人のマッコリ爺さんがダミ声で聞いてくる。
「戦争じゃないよ、救出作戦だ、それよりヘリの整備代は安くしとけよ」
『ボッ・』
ぼったくりな商売をしてる阿漕な爺さんが何か言いかけてたが構わずに通話を切った。
「タナカ、お前何独り言を言ってんだ?」
コロナが怪訝な目で俺を見ている。
「独り言じゃない、コレは遠く離れた相手と話が出来る道具なんだよ」
そう言って手の中のスマホをコロナに見せた。
「これで俺の元いた世界の武器商人にガンシップの整備と燃料弾薬の補給を依頼してたんだ」
「へぇー、便利な魔導具だな、アノ空飛ぶヤツと云いタナカは珍しい道具を色々持ってんなー」
コロナにしてみたらスマホもヘリコプターも魔導具に見えるらしい。
「そうだ、俺の刀が折れちまったからその武器屋に替わりの剣を注文してくれないか?」
そういやコロナの日本刀擬きは先端から三分の一くらいの所で折れてたな。
「マッコリ爺さんはナイフや
「なんだ、品揃えが悪い武器屋だな」
いや、爺さんとこの主力商品は銃火器だし…
「とりあえずその折れた剣の替わりにコレを貸してやる」
インベントリから俺の
二尺五寸、拵えは簡素だが厚重ねの剛刀だ。
えっ、
いや、コレは完全に俺の趣味のモノだ。
以前、居合に凝ってた時に入手した…怪我で右手の指を失って刀を持てなくなってからは倉庫の肥やしになっていたが。
「おおーっ、コレは中々の業物だな」
さっそく胴田貫を鞘から抜くと、その刀身を改めてニマニマするお姫様…おい、刃物見てニヤニヤ笑うな、危ないヤツみたいだから。
「それよりコロナ、お前スゴい臭いんだけど…」
あとでヘリの副操縦士席に○ァブリーズしないといけないくらい。
「う、うら若き乙女に臭いとか言うな!」
コロナが顔を真っ赤にして反発する。
「若かろうが、乙女だろうが関係無い、お前頭の先から足下まで魔物の返り血を浴びて凄い酷い匂いをしてるぞ」
いや、マジでコイツ魔物の返り血だの
「マジか!……う゛っ、オエッ」
アホの子が自分の服の臭いを嗅いでえずいている。
「着替えを用意しといてやるからそこの小川で身体を洗って来い」
ちょうどキレイな水の流れている小川の側で野営の準備をしていた所なので、水浴びをさせることにしよう。
「覗くなよ!」
「そんな台詞はもっと色っぽくなってからな!」
コイツは綺麗な顔立ちしてるのに色気はゼロなんだよな。
コロナが水浴びをしてる間に着替の用意だ。
「うーん、身長は見た目165㎝くらいか、女モノの下着はサイズとかわからんな…トランクスとスポーツブラとかで良いか」
コロナの体格に合わせた
『スケスケのエロい下着とかもあるわよ!』(゜∇^d)!!
なんだか念話的なモノで“
アイツにそんなの似合わねーし。
「おお~い、タナカぁ~、助けてぇ~」
何だか小川に身体を洗いに行ったコロナが情けない声で助けを求めてる。
雰囲気的に魔物とかが出たんじゃ無さそうだが?
「お前、何やってんの?」
甲冑だの鎧下だのブーツだのを脱いでシャツ姿のコロナは、ただ水でべちゃべちゃに濡れてるだけで全然汚れを落とせて無かった。
「だって、城ではいつも乳母や侍女が洗ってくれるから…」
そうか、コイツお姫様だった、普段は全然そうは見えないんだけど…
えっ、じゃあ、俺が洗ってやらないといけないのか?
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