女神に頼まれて助けに来た王女様が戦闘狂っぽい
さまようよろい
第一章 ヤマト王国編
第1話 バレット M-82A1
『ふっ、ふはっ、ふははははっ!』
魔王軍四天王と呼ばれる魔王軍の最高幹部の一人、
小高い丘の頂上に立つ彼の前には万を超える
狼や熊、大蛇等の魔獣の
これら
不死者の軍団は今はまだ一万程度だが、一戦毎に新たな死者を加える事により、直ぐに数十倍の規模に膨れ上がるだろう。
『見よ、我が不死の軍団を!』
〈ばしゃっ〉
『ぐぼっ?』
突然、
〈ダーン〉
一拍遅れて遠くから轟音が聞こえて来る。
『えっ?』
己自身の身体も
『さ、再生の魔法を・』
〈ばしゃっ〉
しかし次の瞬間、まるでスイカ割りのスイカのように
〈ダーン〉
また、一拍遅れて銃声が聞こえてくる…
銃弾の弾速が音速を超えている為、遠距離からの射撃では着弾した後に遅れて銃声の方が届くのだ。
~・~・~
その数瞬前…
「コロナ、丘のてっぺんで馬鹿笑いをしている
俺はバレット対物ライフルのスコープから目を離さないまま、隣で臥せている
「えーと…」
レーザー距離計付きの軍用双眼鏡を目に当てながらコロナが口元をもにょもにょさせる。
「アラビア数字の読み方は教えたよな?」
「い、いち、 いち、さん、ろく?」
どうやら1,136mらしい。
「風は?」
「右から左に微風って感じだな…」
確かに
まあ、この距離でこの程度の風なら強力無比な12.7㎜NATO弾には殆ど影響は無い。
ドーン!
轟音と肩への強烈な反動と共にバレットから発射された弾丸は1㎞先の
「当たった♪」
隣に寝ころびながら大型の双眼鏡を覗き込んでいるコロナが歓声を上げる。
「心臓を吹っ飛ばしたのに倒れないな…」
胸に大穴を開けてやったのに即死しないとは、厄介な化け物め。
ドーン!
バレットの次弾は頭部に命中して
首無し死体となった死霊術師の身体がそのまま力無く地面に倒れ込む。
「タナカ、死霊どもも倒れたぞ!」
喜色も露にコロナが報せてくるように、死霊術師に操られていた
「あっ、デュラハンはまだ動いてる、タナカ、こっちに突撃して来るぞ!」
死霊術師の左右に控えていた
1000mの距離をたちまち詰めて来る。
俺は右側のデュラハンがその左腕に抱える首をスコープの十字線の中央に捉えると、まるでスイカでも撃つかの様に吹き飛ばした。
残された身体が壊れた人形のように力無く落馬する。
左側のデュラハンはその身に纏った漆黒の甲冑と跨がった首無し馬もろともにコロナがタングステン合金製の聖剣“リアル斬鉄剣”で真っ二つにした。
ところでコロナお前、何で刀で魔物を斬ってんだよ、
撃 て よ !
「タナカ、これで全部片付いたな」
デュラハンを斬り伏せたコロナがニカっと白い歯を見せて笑う。
お前は王女なんだろ、もっとお淑やかに笑えや。
「いや、まだ戦場の後片付けが残ってる、あの丘に灯油でも撒いて死霊どもの残骸をちゃんと焼いとかないと疫病の原因になるぞ」
「えーっ」
おい、そうイヤそうな顔すんな!
お前は笑顔なら結構可愛いんだから…
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