第6話

 とにかく、このユーリという男は適当加減なことを言いまくるのだ。

 加減は数の世界ではもっとも重要視される徳目だが、転生者である彼はそんなニュアンスには気が付かない。


 前世で首相だったから、ここでも首相にしろ、などと言い出した所から異常な値だが、無理というものが今のところ存在しない故に誰の裁量(ディスクレーション)だか解らぬまま通ってしまった。


 数の世界にとって問題なのは敵国への憎悪であって、他の数の位がどうとかなど気にしていないのだ。


 それでも、ユーリが「私は立方府の長である」と言い出した時には問題になった。

 9は平方数であっても立方数ではない。


 「5」将軍が「私は9、ビッグである」と言ったのを「キュービック(立方の)」と聞き違えたのだろう、と誤摩化してくれたから良いようなものの大失言。

 ところが反省の色もなくユーリは数学廃棄物(マスゴミ)がなんか言ってるなと、ひと言。

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