第８３話 最後の戦闘
虎がこちらに突進してくる。
すかさずエネルギーで大きな盾を作り出し、
突進を真正面から受け止める。
ガツン！と凄まじい衝撃が響くが、
３人で盾に体重をかけて押し返す。
「次はどうするんですか！？」
國咲が叫ぶ。
「まあ落ち着け！」
エネルギーを構築し、
剣とハンマーを生み出した。
「ほら！これ使え！」
國咲には剣、しずくちゃんにはハンマーを渡す。
「剣なんて使ったことないですよ！」
「何もないよりマシだろ？」
「うわぁ！おもいよぉ！」
しずくちゃんは自分の体と同じぐらいの大きさのハンマーを両手で抱えている。
あまりの重さに後ろに倒れそうになっている。
「俺が時間を稼ぐから、後ろに回り込んで攻撃してくれ！」
すぐに２人が武器を持って散っていく。
「まさかこんな大きい虎と戦うことになるとは！」
盾の奥では虎が鋭い牙を剥いている。
國咲としずくちゃんが移動するまで時間を稼ぐ！
瞬間、盾を解除した。
バリンッ！と盾が割れ、散っていく。
すぐに剣を生成して虎の顔をぶった斬った。
しかし顔を斬る瞬間にガキンッ！と牙で剣に噛み付かれた。
「そんなこともできんの！？」
剣を取ろうとするが強く噛み付かれていて全く取れない。
ギチギチと牙と剣が軋む音が鳴る。
その隙に右から虎の爪がこちらに向かってきていた。
「あぶねぇ！」
剣から手を離し、
後ろに飛び退ける。
「この虎、なかなか強敵だぞ！」
すると、ダダダダッと走る音が聞こえた。
國咲が剣を持って横から虎に向かって走っていた。
しかし虎はそれに気づいており、向きを変え、
手で國咲を吹き飛ばそうとしていた。
次の瞬間、
國咲が剣を棒高跳びのように地面に押し当て、空中へ飛んだ。
「当たりませんよ！私は未来が見えるんですから！」
そのまま虎の胴体めがけて剣を突き刺した。
「おおっ！」
しかし剣が刺さったにも関わらず、
虎に全くダメージはなかった。
「肉まで届いてない！？どんだけ分厚い毛皮してんですか！」
國咲の文句が聞こえる。
「やぁぁぁ！」
どこかから可愛い声が聞こえる。
見ると、しずくちゃんがトコトコと虎に向かって走っていた。
そしてハンマーを虎の足に振り下ろした。
しかし虎はビクともしていない。
「あれ？きいてない？」
その時、虎から凄まじい威圧感を感じた。
「國咲！しずくちゃん！」
俺が呼びかけた時、
すでに國咲は動いていた。
”完全未来予測”
同時に虎が恐ろしい咆哮をあげる。
虎の周りの地面がバリバリと割れ始める。
ただの方向で地面が割れるなんて。
あんなの近くにいたら気絶してるぞ。
咆哮が収まる。
気づくと國咲は能力を使い、しずくちゃんと一緒に俺の後ろにいた。
「やっぱり私の能力は最強ですね」
「ああ、そうだな！それより、どうやって倒す？」
２人に相談する。
「ここはもう”あれ”しかないですね」
「うん！あれだー！」
國咲としずくちゃんが言う。
「え、あれって何？わかってないの俺だけ？」
「決まってるじゃないですか！あなたの得意なぶっ放しですよ！」
「ああ！そういうことね！」
「この中間試験ももう最後ですから、今あるエネルギーを全部使っちゃってください！」
すると國咲としずくちゃんが俺に抱きついた。
途端に２人のパワーが流れてくる。
しずくちゃんが”身体共有”の能力を使ったのか！
「よーし！じゃあ最後だし全力でいきますか！」
右手を前に出して構える。
國咲が密着し、俺の右手に自分の腕を絡ませる。
しずくちゃんを俺の腕に抱えると、國咲と同じように右手に触れた。
虎がこちらに向かってくる。
２人からエネルギーを吸い上げ、
右手に一点集中させる。
ふと國咲を見ると、笑っていた。
「何笑ってんだ？」
「何が起こるかわからないってこんなにワクワクするものなんですね」
その笑顔はとても美しかった。
「笑うってことは良い未来が待ってるってことだろ？」
「絶対そうです。こんなの能力を使わなくたってわかります！」
「いけー！」
國咲としずくちゃんの言葉が耳に入る。
瞬間、俺のエネルギー全てを解放した。
”特大火力砲”
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