第41話 ex. 街にお出かけ
ある日の土曜日、
休みなので王様ゴールのお疲れ様会もこめて流星と神藤さんと街に遊びに行くことに。
この学園は山の上に建設されていて、
学園の前にある階段を下がると小中高と学生の住む寮がある。
さらにその下の長い階段を下がると大きな街に行くことができる。
3人で街に続く階段の前で話し合う。
「楽しみだね!」
「うん!」
流星がウキウキで言って神藤さんがウキウキでそれに答える。
王様ゴールが終わってやっと落ち着いた学生生活が始まるって感じだな。
「この街、いろんな場所があるらしいからなー」
入学した時に貰った街の全体像が載っている紙のマップを開く。
マップには遊園地や大型ショッピングモール、さらには電車の通っている駅などもある。
マジで普通に栄えてる街だな。
そしてマップには住宅街やオフィスビルも載っている。
この街には能力者じゃない普通の人も住んでるらしい。
確か能力者のせいで危害が及ぶかもしれない代わりに、
格安で住んだりビルを借りたりできるそうだ。
「私、お買い物したい!田舎出身だからこんな大型施設行ったことなくて・・・」
神藤さんがマップを覗き込んでショッピングモールを指差す。
「いいよ!」
3人で街に続く階段を駆け下りた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
街は本当に綺麗で最先端って感じがした。
行き交う人は学園の生徒も沢山いる。
学生の街って感じだな。
神藤さんは田舎出身だからか、
見るもの全てをまるで宇宙人でも見るように驚きながら街を歩いていた。
神藤さんの住んでたとこはどんだけ田舎だったんだよ。
「ここだよここ!」
神藤さんが飛び跳ねて指差す。
まだ短い付き合いだけどここまでテンションが上がってる神藤さんは初めて見た。
神藤さんが俺と流星の手を引いて走る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ショッピングモールでの神藤さんは凄かった。
全ての店を見て回り、全ての店で買うか買わないか悩んでいた。
「ま、まあ寮から近いしいつでも来れるから!」
そんな流星の言葉を何度も聞いた。
ショッピングモールには映画館もあり、
最新の映画も上映していた。
一通り見回って時間はお昼頃。
フードコートでお昼ご飯を食べることに。
「私、買ってくる!」
神藤さんはそう言うとダダダッ!と走っていった。
熱意がすごいな。
フードコートに座っている半分以上は学園の学生で、
中には小頭部の子達もいた。
背も小さくて多分小学1年か2年ぐらいだろう。
能力なのか食べ物がふわふわ浮いている。
「なあ流星、あんなに小さい子だけじゃ危なくないか?」
小頭部の子たちは口をいっぱい汚しながらモグモグ食べている。
「うーん、でも能力者だからね。下手なことをすると痛い目に遭うかも」
「あーなるほどな。とんでもない能力を持ってるやつもいるしな」
「それにこの街は国が管理していて、さらに山の上にあって外界から遮断されてるようなものだから普通の街とは違うのかもね」
そっか、何か問題があっても外には漏れにくいし国が管理してるってことは圧力で握り潰されることもあるか。
ということはある意味この街は治安がいいってことか。
「みてみて!」
神藤さんが両手いっぱいに皿を持っており、
それをドンッ!とテーブルに置いた。
「すごい!こんなご馳走があるんだね!」
しかし料理はいたって普通のチェーン店のものばかりだ。
「そこまでご馳走じゃないと思うけど・・・」
流星が言うが神藤さんの耳には届かない。
神藤さんはさらに料理を運んできて、
テーブルのほとんどが料理で埋まった。
「ほら!みんなで食べよう!」
神藤さんはそう言ったがほとんど自分で食べていた。
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ショッピングモールから出る。
「お腹いっぱい!これが都会なんだね!」
その後も遊園地に行ってみたりちょっと裏の道を歩いてみたりして街を歩き回った。
「よし、楽しんだし今日は帰ろっか!」
時間はすでに夕方前になっていた。
ふと上を見上げると、もうすぐ日が暮れそうな綺麗な空が広がっていた。
沈みかけている太陽が街を照らしていて心地よい風が吹いている。
山の上だから空気が美味しい。
瞬間、空を何かが横切ったと思ったら”飛行”の能力を持つ天使だった。
金髪ロングが輝いており、
手にはいっぱいの荷物を抱えている。
「空を飛ぶ能力って便利だなー」
「そうだね、私の”交信”の能力なんて日常生活で使えないからね」
「そうだ!流星の”速度変化”の能力で寮まで運んでくれよ!」
「えー、疲れるから嫌かな」
「頼むって!お願い!ほら神藤さんも言ってるから!」
「私は別に・・・」
「わかったよ。しょうがないなー」
すると流星が俺たちに触れて能力を発動した。
高速で街を駆け抜ける。
「いやー、やっぱ便利だな!」
通り過ぎる人はそんな俺たちをみても全然驚かなかった。
多分もう見慣れた光景なんだろうな。
改めて俺たちは普通の人間じゃないんだなと感じた。
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