変態女達の執念

 理想の彼氏を探すために、わざと見せパンを見せながら行動していた

新海にいみさんと本城ほんじょうさんの2人。


俺はその2人を置き去りにして、学校に向かったんだが…。



 1限後の休憩時間、自席でのんびりしてるとクラスメートに声をかけられた。

俺に声をかける人がいるのは珍しいな。確認すると、加藤君だった。


「さっきトイレに行くために廊下に出たんだけど、『風祭かざまつり君って人知ってる?』

て訊いてくる2人がいたんだ。一応『知らない』って言っておいたよ」


話したことがない俺をかばってくれるとは…。加藤君、良い奴だな。


「その2人って、女子だった?」


「うん。学年はわからないけど…」


新海さんと本城さんの2人だろう。自己紹介の時に学年を言ったのはミスったな。

時間はかかるが、しらみつぶしで俺の教室がわかってしまう。


「教えてくれてありがとな。加藤君」


「気にしなくていいよ。…じゃ」

そう言って、俺から離れる加藤君。


俺から会いたい人達ではないから、放置に限るな。



「ねぇねぇ、君達。このクラスにって人いる?」


廊下にいる新海さんが、俺がいる教室全体に届く声で質問する。

一部のクラスメートが「あそこです」と言いながら指差す。


…とうとう気付かれてしまった。諦めるしかないな。


「風祭君。やっと見つけたよ」

新海さんと本城さんが、堂々と俺の教室に入ってくる。


「まだ何か用なのか?」


「あたし達を置いて逃げちゃうんだもん。最低だよね」

本城さんがつぶやく。


その発言は誤解されるな。教室で話し続けるのは、避けたほうが良さそうだ。


「わかった。話なら聴くから、自販機前の休憩スペースで話そう」


「そう? じゃあ、行こうか」

新海さんが俺を今連れ出そうとする。


「ちょっと待て。もう休憩時間が終わる。2限後の休憩時間にしてくれ」


「確かにね。彰君、今度は逃げずに来なさいよね」

本城さんがそう言った後、2人は俺の教室から出て行った。



 クソ。学年を言っただけでなく、逃げたのも失敗だったか?

それにしても、わざわざ俺の教室を探すとは。なんという執念だ。


向こうがその気なら、俺も本気であの2人に立ち向かわないとな。

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