第10話 どこまで打ち明けようか?

 新しい屋敷に移って5ヶ月が経った。新しい屋敷は本当に快適で、自分の部屋で目覚めた僕は2日目に屋敷の中のリフォームを行ったんだ。

 敷地内にある井戸から屋敷の横に大きなタンクを作って設置してから、手押し式ポンプだけどそのポンプで水を汲み上げてタンクに水を貯められる様にした。タンクは500ℓタンクが2つだ。手押し式ポンプも2つ。そして、タンクから配管を伸ばして屋敷内に繋げたんだ。

 魔法で出来る事は魔法でやって、手でやる部分はセバスやロッテン、ガルンがやってくれた。

 メイド達には物凄く感謝されたよ。井戸まで水を汲みに行く必要がなくなったからね。ただ、毎日誰か二人が手押し式ポンプでタンクに水を貯める必要があるから、その辺りの改良を考えているんだ。

 まあそれには色々と弊害が出そうだからまだ手を付けてない状態なんだけど……


 今日は朝から訓練をしている。屋敷を囲う塀は僕が住むようになってから外からは中が絶対に見えない高さに変えたから、僕、リラ、フェルちゃんの三人は時にセバス、時にガルン、はたまたレミさんに教えてもらいながら訓練をしている。

 勉強はラメルとハレに教えて貰っている。僕達はそれなりに強くなっていた。



名前:トーヤ・ログセルガー(公爵家五男)

年齢:五歳

種族:人種

位階レベル:8

性別:男

性格:ムッツリ・アレオッパイ星人

称号:転生者・フェルの婚約者

体力:52

気力:106

技力:61

魔力:282

魂力:535

技能:魔力操縦・全属性魔法(5)・身体強化(大)・気配察知(範囲大)・刀技(5)・見極眼みきわめ(8)・隠密行動(3)・料理(4)・小太刀(6)

加護:アメノウズメの加護

   【道具箱】【知識箱】


名前:リラ(トーヤ専属庭師の娘)

年齢:五歳

種族:獣人けもびと

位階レベル:7

性別:女

性格:お姉ちゃん

称号:魔法獣人・フェルちゃんの味方

体力:112

気力:55

技力:81

魔力:105

魂力:93

技能:魔力操作・身体強化(大)・属性魔法(2)【赤・水・緑】・気配察知(範囲大)・剣技(8)・隠密行動(5)・短剣術(5)

加護:ミチザネの加護

   【頭脳明晰】



名前:フェル・テルマイヤー(侯爵家四女)

年齢:五歳

種族:人種

位階レベル:8

性別:女

性格:根暗・妄想魔人

称号:トーヤの婚約者

体力:58

気力:91

技力:55

魔力:182

魂力:125

技能:魔力操作・身体強化(中)・属性魔法(3)【赤・水・緑・茶・金】・剣技(3)・短剣術(5)

加護:ククリヒメの加護

   【不屈】


 三人とも教えてくれてる大人たちが言うには、既にD級の冒険者を相手にしても対応出来る力があるそうだよ。僕は半信半疑なんだけどね。だって、ガルンにも軽くあしらわれてるからね。

 それにセバスに至っては攻撃そのものが当たらないし…… ロッテンの素早さには三人とも翻弄されるし…… こんなので本当に大丈夫なんだろうか? と日々不安を感じているぐらいだよ。


 それでもわずか5ヶ月でここまで上がったのは確かに凄い事だと思う。僕は筆談でフェルちゃんに自分の技能である見極眼を伝えて、能力値が見える事を伝えているから、定期的にフェルちゃんとリラを見て紙に書いて二人に伝えているんだ。二人とも能力が上がってたらニッコリと笑ってるよ。


 それで、僕は最近になって悩んでいるんだ。本当は喋れるけれど喋らない事、心話が出来る事、転生者である事などなどを誰にどこまで打ち明ければいいんだろうかって。

 ガルン、ラメルの養父母には全て打ち明けたいって最近は思うようになってるんだけど、リラには転生者である事を打ち明けても、今まで通りの付合いをしてくれるかな? って不安もあるし。

 セバス、ロッテンの兄弟やハレやセラスにもある程度は打ち明けてもいいと思ってるけど、他のメイドさん達にはどうしようかとも考えているんだ。


 そして、最も悩んでいるのは婚約者になってくれたフェルちゃんだ。本当なら包み隠さずに全て打ち明けるべきなんだろうけど、まだ5歳なんだよね…… 僕が打ち明けた事によってフェルちゃんの負担になるのは悪いと思うし、セバスが言ったように嫌になったら婚約解消もあり得るからなぁ……


 もう少し年月が経ってから打ち明けた方がいいのかなって思ってるけど、婚約者を差し置いて養父母であるガルンやラメル、それにリラに先に打ち明けていたってフェルちゃんが知ったら、気分を悪くするかなとか、色々と悩んでしまっているんだ。


 そんな悩みを抱えた日々を送っていたある日の事だった。いきなりログセルガー公爵家次男、つまり僕の兄が屋敷を訪ねてきたんだ。その理由が最悪だったけどね……


 

「オイ! 優秀な兄が愚かな弟と一緒に住んで教育してやるって伝えろ!」


 いきなり公爵家の家紋入り馬車、3台を引き連れてやって来た次男、ザラス・ログセルガー17歳。本来ならばまだ学園に通っている筈だけど、素行が悪く、王女殿下の取巻きの一人である侯爵令嬢に無礼を働いたらしく、学園を退学させられた乱暴者だってセバスに聞いていたんだ。


 門番の一人である騎士ナイヤーが、約束の無い方を敷地内に入れる事は出来ませんと突っぱねていたけど、ザラスは


「オイッ! 俺はトーヤの兄だぞっ! つまりこの家は俺の物なんだ。何せ、俺はトーヤよりも偉いからな。あんな喋る事も出来ないガキがこんな屋敷を親父から貰ったなんて、許されるものかっ!! それをお前は門番のくせにあるじを屋敷に入れないって言うのかっ! お前はクビだっ! 今すぐココから去れっ!!」


 何て言ってたところにセバスと共に僕も門にたどり着いたんだ。セバスが先ずは慇懃無礼いんぎんぶれいに兄に言った。


「コレはザラス様、お久しぶりでございます。学園を退学なされてから、とんとお噂をお聞きしておりませんでしたが、コチラにはどんな御用で? それと、お父上であるマイヤー様はご存知なのですか?」


 うん、セバスはちょっと怒ってるようだね。僕は黙ってセバスのお手並みを拝見させてもらう事にしたんだ。

  


 

 

 

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