カメリアの好きな◯◯。〜さぁ、お仕事の時間です♪〜

 そうですね...ご都合主義丁度良かった、ですね。

 リズの〈愛娘〉が役職だったのか、と。

 哀れロイロ、日頃の行いを省みなさい。


 リズとルーチェは確定として、後は誰を連れて行きましょうか。

 あの店、狭いですからね〜。


「リズ、ルーチェ。少し良いですか?」

「はーい!」

「はい。大丈夫です、アキサメさん」

「今から仕事仕入れに向かう予定なのですが、一緒に行きますか?」

「!!はいッ!行きます!リズはアキサメお父さんのおしごとについて行きたいです!!」

「え!?仕入れって事は、地球異世界、アキサメさんの住んでいた世界に行くのですか!?私も連れて行ってもらえるのですか?」


 勿論。ルーチェは従業員ですからね。これから先、少しずつ私の代わりに仕入れに行ってもらうつもりですからね。

 癖の強い生産者の皆さんに合わせるのは、少し心配ですが、ルーチェなら大丈夫でしょう。

 むしろ、私より気に入ってもらえそうですし。

 音慈さんとか、福さんとか。富士見堂の桜井さんとかもかな。


「ええ、勿論ですとも。ルーチェには仕入れを手伝ってもらう機会も出てくると思いますから、生産者の皆さんに紹介も兼ねてですね。

 リズは、色んな物を一生懸命生産している皆さんと会って、その仕事っぷりを見たり、商品に懸ける思いなんかを感じて欲しいですね。

 貴族の立場では、中々体験出来ない事ですから、将来の為にも勉強する良い機会となるでしょう」

「はいッ!!リズはがんばってべんきょうします!」

「分かりました。私もアキサメさんのお仕事のお手伝いが出来るように頑張ります!」


 素直で良い子達です。私も頑張らなくては。


「それで、もう1人連れて行こうと考えているのですが、誰が良いですかね?因みに、行き先は食べ物を扱う店です」

「アンナちゃんとフェルミナさんはまだ旅に慣れていないので、休ませてあげたいですね」

「ですです。アンナちゃんはウトウトしてました」


 成程。確かに慣れない旅な上に、子供とはいえ貴族リズと一緒では緊張して疲れてしまうのも当然ですね。

 では、やはりカメリアかな?言えば付いてくるでしょうが、無理強いしたくは無いのですがね。


「カメリアに聞いてみましょう。あまり興味が無さそうなら3人で行きましょうか」

「分かりました。カメリア姉さんを呼んで来ますね」


 そう言って、ルーチェはマカロンの側で柔軟体操をしているカメリアを呼びに。

 直ぐにカメリアとルーチェが戻ってきました。


「アキサメ父さん、お仕事見学のお誘いだって?」

「そうですよ、カメリア。食べ物を扱う店ですので退屈かも知れませんが」

「食べ物かぁ...因みに何を扱う店かな?」


 これは、あまり興味無い感じかな?


「扱っているのは、パンで『行く!』え?」

「パン屋さん!!ゼッタイ行く!行きます!いや、連れてって下さいッ!!」

「え、ええ。勿論大丈夫ですよ...そんなにパンに興味があるのですか?」


 カメリアがしっかりと息を吸って...。

 あ、ヤバい、凄い興奮してます。


「私さ!パンが大・大・大好きなんだよ!!

 お貴族様が食べる白くてフワッフワのパンを、ちょっと報酬の良い依頼を達成した時のお祝いに買ってさ!そのまま食べても美味しいし、新鮮な野菜とかハムを挟んで食べるのも好き!

 普段食べてる黒パンも硬いけど、アレはアレで美味しいんだよね。薄くスライスしてチーズを乗っけて焼いたりさ!知ってるかい?焼きたての黒パンのサンドイッチ!すっごく美味しいんだよ!?スクランブルエッグを挟んでも良し!季節の果実ジャムを塗っても良し!あぁ、考えてたら食べたくなってきた...そうだ!この間アキサメ父さんが作ってくれたドラゴンバーガー!あのドラゴンバーグを挟んでたパン、確かバンズって言ってたっけ?アレも美味しかったよな〜!肉、野菜、ソースを包み込むあの包容力!バランス非常に良し!でもやっぱり1番好きなパンは、昔母さんが焼いてくれた自家製ドライフルーツが沢山入ったパンかな...誕生日とかお祝い事の時だけ食べる事が出来るパン。今でもあの味は覚えてるよ。懐かしいなぁ...また、食べたいなぁ...」


 長ッ!...大好きなんですね、パン。

 カメリア、貴女のお母様はご健在でしょう?旅の前にもご実家に帰ってましたよね?


「ほぇ〜...カメリアお姉さんはパンが大好きなんですね!」

「凄い...こんなに饒舌なカメリア姉さんは初めて見ました」

「うんうん。〈大好き〉が伝わってきますね。

 では、


 私が食べた中で1番美味しいパンを焼き、私が出会った中で誰よりも1番、パンを愛する人。


 〈良い子のパン屋〉の《boulangerパン職人》。


 赤松 良子よしこさんに会いに行きましょう。


 さぁ、お仕事の時間です♪」


「はーい♫」

「分かりました!」

「はいッ!喜んでー!!」



 楽しくなりそうです。


 

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