新しいお友達。「証人喚問をよーきゅーするニャ!」
またやらかしたロイロに右手をグーパーしながらゆっくりと近づく私。
ハッ!と何かを感じ取ったロイロが辺りをキョロキョロした後、私と目が合う。あゝなんて顔をしているのですか、
「ア、アキサメ、待ってニャ!これには海よりも深ーいワケがあるのニャ!そ、そうだ!天ちゃんを喚ぶニャ、ショーニンカンモンの場をもーけるニャー!」
「あはは。是非とも教えて頂きたいですねぇ?
ところで、〈天ちゃん〉とはどなたの事ですか、
初めて聞く名前ですね。ロイロの
「にゃ?天ちゃんは天狐ニャ。油揚げが大好きで、ちょっと口煩いツンデレば〈バチンッ!!〉痛ッ!?」
「何言ってくれてんのよ!?この馬鹿猫!」
突然、ロイロの背後に現れた狐耳の女の子が、今時お笑い番組でも見ないような大きめのハリセンをフルスイングした状態で叫ぶ。
「何するニャ!?天ちゃん、ボーリョク反対ニャ!」
「アンタが変な事言うからでしょ!?」
天狐の天ちゃんさんは、ロイロと同じくらいの背丈で黄色の着物に朱色の袴姿。
頭には大きめのリボンを着けており、大正ロマンのハイカラさんスタイル?といった風貌。瞳の色は金色で髪の色はスカイブルー。
取り敢えず、お話を聞きますか。
「........ロイロ、天ちゃんさん、少し落ち着きなさい」
「ニャ?」
「あ!...す、すいません!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。初めまして、天ちゃんさん。アキサメ・モリヤと言います。いつもうちのロイロがお世話になっています」
「いえ!こちらこそ初めまして。私、天狐の...すいません、名前は無いのです。宜しくお願いします、
あぁ、天ちゃんというのは種族名の天狐なんですね。
名前が無いというのは不便なのではないでしょうか?
「お名前、無いのですね。天ちゃん、とお呼びするするのも失礼ですね...」
人間に向かって〈人〉と呼んでいるのと一緒ですしね。
「えぇ、まあ確かに種族名ですが...(名前かぁ。今まで不便しなかったからなぁ)」
「ニャ?天ちゃんもアキサメに付けて貰えばいいニャ。私は
「!!?そう言えば、そんな事言ってたわね...
アキサメ様、私にも名前を頂けないでしょうか?」
「え!?...そう、ですね...」
う~ん、スカイブルー...空...青...天色...うん。
「〈
「
良かった...気に入って頂けたみたい。
「良かったニャ、て...そらちゃん」
「ありがと、ロイロ」
神様同士きゃいきゃいと盛り上がっている傍で、ジッと周囲から視線を受け続ける私。
はぁ...先に皆さんに説明しなくてはいけませんね。
「え~っと、新しいお友達が増えました?みたいですね」
「いやいやいやいや、そこじゃ無いだろ、アキサメ」
「レオン、そこもあるわよ...」
「ロイロちゃんのおともだちなら、リズともおともだちです!」
「アキサメさん、また賑やかになりましたね♪」
「メェ~」
《てんこかぁ~》
「ソラちゃんも可愛いわね~」
説明しろと言われてもねぇ。ロイロ関連は私も把握しきれていませんし。
受け入れるしかないんですよ、レオンさん。
「
改めまして、私、天狐の
「よろしくお願いしますね、ソラ。
ここにいらっしゃるのは、この世界の貴族の方々と護衛、使用人の方々です。
私は、只の一般人ですから、そこは間違えないでくださいね」
「はい、アキサメ様!委細承知しております」
「アキサメ、只の一般人は
「レオンさん、細かい事は気にしなくて良いんですよ。取り敢えず、話が逸れましたが、この車...魔導車でいいか、これがあるので馬車は必要ありません。見て分かるように、ロイロが店舗登録した〈気まぐれ猫〉の移動販売車ですので、ロイロもソラも自由に行き来できるみたいです。
リズやルーチェはここから
「やった~!」
「便利?ですね。アキサメさん」
「でしょ?ゆっくり走っても馬車より速いですし、オフロード対応ですから揺れも気にならない快適な旅をお約束しますよ」
「なんだよ、ゆっくり走っても馬車より速いって...。
はぁ...。考えるだけ無駄だって事が分かっただけでもいいか」
「え!?レオン、それでいいの?」
「考えてもしょうがないだろ、エリス。どのみちアキサメにしか使えない魔導車も、儂らからは会えないロイロ殿の友達も。
それに、何があっても大丈夫だろ。アキサメがいるなら」
「...それもそうね。考えても答えはでないわね」
そういう事です。ロイロの事情は近いうちに
カメリアさんやカイン君達は驚きを隠せていませんが、レオンさん達から教えてもらって下さいね。
さぁ、お披露目も終わりましたし、後は、旅行に出かけるだけですね。
なんだかんだ言っても、ガルト以外の街に行くのは初めてなので楽しみです。
どんなところですかね~。
美味しい料理も食べたいですし、観光もしたいなぁ~。
そういえば、
さてと、ヘケトの街では何を売りましょうかね~。
楽しみになってきましたよ、家族旅行兼出張営業。
あぁ、あとレオンさんのおつかい。
(いきなり出てくるなんてどうしたニャ、て...そらちゃん)
(ロイロが突然カミングアウトするからよ!)
(しょうがないニャ。この間の音ちゃんの事もあるからアキサメには話していかないといけないニャ)
(それはそうだけど、端折りすぎでしょ!御館様の記憶はまだ無いのよ?混乱しちゃうでしょ)
(そうかニャ~?アキサメは...)
(何よ?アキサメ様がどうかしたの?)
(........なんでもないニャ)
(...そう?ならいいけど)
「ソラちゃん、はじめまして!アキサメお父さんのむすめのリザティアです!リズってよんでください!」
「ソラちゃん、初めまして。〈気まぐれ猫〉の従業員のルーチェです」
「初めまして、リズちゃん、ルーチェちゃん」
(アキサメ...秋雨様は本当に起きていらっしゃらないのだろうか...)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます