いざ、出発!! 皆様、お忘れ物をなさいませんよう、ご注意下さい。
ガルトの門の前には、エリスさん一行の馬車と護衛騎士たちが準備を整え整列している。馬車にはエリスさんと侍女が乗り、護衛騎士達は騎乗して隊列を組む模様。フットワークの軽いエリスさんは移動時間の短縮の為に毎回少数精鋭が基本らしい。
主だった街道付近にはたいした魔物は出現せず、野盗や盗賊団(やっぱりいるんですねぇ)といった犯罪者集団もいるらしいが、騎士が随行する一行を襲うほど身の程知らずは居ないみたいです。まぁ、そのくらい騎士になるという事は難関で、精鋭揃いなんですって。
その一行の後方を追走する形で私達〈気まぐれ猫〉の
「気をつけて行くのだぞ、リズ、ルーチェ。カメリアも護衛任務は浅いが腕は確かだから心配はしていないが、宜しく頼む」
「気をつけて行ってらっしゃい、リズ、ルーチェ。カメリアさんもお願いね」
「はい!きをつけていってきます、おじい様、おばあ様!」
「行ってきます、お父さん、お母さん!」
「お任せ下さい、旦那様、奥様」
見送りの挨拶を車の傍で見守りながら、ロイロとソラに声を掛ける。
「そろそろ出発しますよ、2人とも」
「りょーかいニャ~」
「分かりました~」
ロイロとソラはHバン...いえ、〈マカロン〉とリズが命名しましたか。先日の3時のおやつに出した〈Kei.Ⅹ〉のマカロンが美味しかったようで、同じ色のHバンを見て「マカロンちゃんです!」と決めたようです。
マカロンの中から出れない2人はゆっくりとお茶を楽しんでいたようで、そそくさと片付けを始めました。
その様子を見ていると、レオンさんが寄ってきて話しかけられました。
「アキサメ、宜しく頼むな。これがガンドリックの工房がある住所だ。ヘケトでも結構有名なヤツだから分からなかったら誰かに聞けば分かると思うがな。鎧の修理の件はこの手紙に書いてあるから渡してくれ。ヤツにも宜しく伝えてくれ」
「分かりましたよ、レオンさん。のんびり楽しんできます。
鎧の納期次第では2、3日帰るのが遅くなるかもしれませんが、その時は商業ギルド経由で連絡しますね」
「あぁ。そうしてくれ。あまりにも時間がかかるようなら、受け取りは後日にしても良いからな」
初めて知ったのですが、商業ギルドと冒険者ギルドには通信の魔道具があるらしく、有料で各支部間での伝言のやり取りが出来るようです。領主代行からの依頼なので今回は使わせてもらえるみたいです。
まぁ、
出発の挨拶を済ませた3人がこちらに向かって来ました。
「ちゃんと挨拶は済みましたか?
それでは、乗りましょうか、お嬢様方」
「はいです!」
「はい、アキサメさん」
「は、はい。お邪魔します」
カメリアさんは少し緊張しているのか、恐る恐るといった感じで乗り、リズとルーチェはささっと乗ります。
エリスさんの馬車もそろそろ動き出すようです。
私も運転席に乗ります。
「ロイロ殿、ソラ殿お早う御座います。リズとルーチェの相手、宜しくお願い致します。
それでは皆、体には気をつけてな。アキサメ、皆の事は頼んだぞ」
「任せるニャ~」
「分かりました、レオン様」
「頼まれました。それでは行って来ますね」
「「行ってきます!」」
――ピコン。ウィ―ン....
流石。電気自動車は静かですね。
窓を開けたリズとルーチェが、レオンさん、サーシャさんに手を振るのをミラーで確認しながらゆっくり発進し始めます。
「さぁ、家族旅行、出発です!」
「お~~!」
「ニャ~!」
「お、お~!」
「おーですわ!」
「お、おぉ...」
「...行った、か。本当に馬なしでも動くんだなぁ」
「そうねぇ、アナタ。でも楽しそうな顔でしたね、2人とも」
「そうだな。楽しんできてほしいものだ。それにしても、何か忘れているような...?」
「あら、アナタも?実は私も。何だったかしら...」
―――ビュンッ!
そんな2人の横をウルトラピンクの塊が猛スピードで通り過ぎる。
「「あ!」」
「メェメェメェー!!!!メェメェー--!!!メェー----!」
《あきさめ、わすれもんだぞー!!!つきをわすれてるぞー--!!!まてー---!》
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