第606話 健診医われ中六日の登板に二時間余りの全力投球(医師脳)

 金曜日の午前中は内科健診である。

 *眼瞼結膜と眼球結膜の視診。

 *甲状腺の視触診。

 *心肺の聴診。

 *腹部の触診。

 と、マニュアル通りに診察しているが……。


〇BMI45超の女性を診て健診医われは言葉を選ぶ

〇杖を突き健診を受けに来し媼、体重三桁では膝ももつまい


 ここまで極端ではないにしても、BMI30くらいの肥満体をベッドに横たわらせて腹部を触診し続けていると空しくなる。

「こんなことしても意味ないじゃん」と、腹部の脂肪が私の掌に語りかけたような気がした。

――いやいや、手を当てることに意味があるのです。

 心のなかで言い訳をしながら、型のごとく触診をする日々。

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