応援コメント

第423話 「Choosing Wisely」を我こそ唱へ続けむか生涯現役医師にしてまだ七十五歳ぞ(医師脳)」への応援コメント

  • 小さな療養型病院で勤務する「内科医」の末席を汚す者です。

    先日、私の外来に来られた「風邪を引いた後から咳だけが続く」という主訴で来院された方。初診時の胸部レントゲン2方向、血液検査で有意な所見を認めず、頻度の高い「感染後の咳嗽」「咳喘息」を考え、6週間ほどfollowしましたが改善せず、結局胸部CTでは、数mm大の小結節影がパラパラみられ、大学病院に紹介しましたが、おそらく腹部臓器の悪性腫瘍(肺よりも肝転移が目立った)の肺転移と考えています。CTを取った後でもう一度レントゲン写真を確認しましたが、やはり単純写真ではわかりませんでした。

    内科診断学のロジックで診断を進めていくと、どうしてもレアな症例の診断は遅れてしまいます。有名な「シマウマ探し」のたとえ話ですが、ごくまれにシマウマが走ってくることがあります。

    Choosing Wiselyの「エビデンスに基づく有用性」、この「有用性」という言葉が悩ましく、「その検査を有症状者全員に行うコスト>その検査を行わないことで見逃された患者さんを治療するコスト」となれば、その検査は「有用性が低く行うべきではない」という、コストパフォーマンスの視点がその根底に存在していると認識しています。

    「賢明な選択」の背後にはアメリカ的資本主義医療が流れていることを認識しつつ、適切な診療を心がけたいと思っています。