第11話 水虫の巣食ひし爪に刃をあてて抉りとるなり彫師のごとく

水虫の巣食ひし爪に刃をあてて抉りとるなり彫師のごとく(医師脳)


 恥ずかしそうにする婆さんを治療ベッドに寝かせ、足の爪白癬の処置に取り掛かる。


 灰色に濁った爪は、厚く盛り上がっている。

「ずいぶんと年季はいってる爪だね~」


 リンゴ園で長靴を履いて、朝から晩まで働いていたそうだ。

「働き者の勲章だぁ」と、 ニッパーで少しづつ…。


「よし、おわった!」

 婆さんたちは、きまって手を合わせる。

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