第39話 年末年越し大決戦!中編(2)

 マコラは空を飛行する、その速度はグリフォンにだって負けてはいない。まるでハエの如く飛び回りグリフォンの注意を引く、急旋回を加えた高速飛行は捕らえるのは難しいぞ。


「おおー!グリフォンの風の攻撃も普通に躱してますよ!」

「ダークエルフは魔法やそれに類似する攻撃に対する感覚が鋭い、あのダークエルフは中々の使い手みたいだな」


 ポンコツちゃんとリゼルさんがマコラの頑張りを見ている。

 他の冒険者達も動きだした、流石にグリフォンを二体相手にするのは空を飛べる冒険者達でもキツい。


 そこで地上組の冒険者達はグリフォンの片方の注意を引くことにした、どこからか調達してきた拳大の石を投げたり魔法や矢で攻撃している。


 中にはあの紫装備のモンスターがドロップしたであろうご立派なナスを投げつけている猛者もいた。

 私は食材は大事にする人間なのでそんな真似はしない。雷撃系の魔法で攻撃している。


 しかしグリフォンは頭が良いので地上組の冒険者に見向きもしないぞ、どうするんだよこれ。

 グリフォンが風を纏ったままその巨体で飛行組の冒険者達に体当たりをし出した。


 一撃で何人もの飛行組の冒険者が光となってダンジョンから退場していく。

 不味いな、ここままでは冒険者側のグリフォンと戦える戦力がいなくなってしまうぞ。


 マコラはグリフォンの体当たりを躱し続けながら連中に蹴りを放つ、しかし予想以上にグリフォンの風の防壁は硬いのか苦戦していた。


 ………仕方ない、ここは僕が一発デカいのをかましてやるか。特級魔法の発動の準備に入ろうとした、その時である。


 僕らが戦っている戦場にあった二つの門が物凄い爆発音と共にぶっ壊された。

 何事かと思って確認してみる、すると二つの門の向こうから新たな連中がゾロゾロと現れる。


 どちらさんですか?片方は上半身マッスルな野郎ばっかで金属の胸当てをしたバーバリアンみたいな連中で、もう片方は規律の取れた騎士団である、こちらは何故が女性のみで構成された一団だ。


「ガッハッハッハッ!ここが頂上か!?いやっまだ中程か…ん?あれはグリフォンか!」

「止まるな!この戦い、必ず勝利するのだ!」


 それぞれの集団のリーダーと思われる存在を発見した。


 バーバリアンのリーダーは赤い瞳と赤みがかった黒髪を背中まで伸ばした大男だ。髭も伸ばしていてもみ上げ部分が髪と繋がってライオンみたいになってる、目つきも人間よりも獣に近い感じだ。

 普通のマッスルが両手で振るいそうな馬鹿みたいに大きな棍棒を両手に装備して赤いマントを羽織っている。


 もう一つの女騎士団のリーダーは金髪碧眼の白人系女子、歳は二十歳になってるかどうかくらいだと思われる。

 コスプレみたいな手の込んだ金ピカな鎧姿で手には派手な装飾をした槍を持っている、目つきはキリッとした端正な美女だ。


「オイオイっまさかアイツラは獣王国連合とセラフィム聖国の……」

「俺も噂には聞いたことはあるぜ、けど本物なのか?」

「本物なら海を越えて来たってのかよ…」


 どうやら別の大陸の有名人らしい。何故そんな人達がここにいるのか?そんなのネビウス様がなんかしたとしか考えれられないでしょ。


 ネビウス様ならアガーム大陸以外の場所でも異空間の裂け目を作ってこの富士山へと誰かを呼び込む事くらい出来そうな気がする。

 まさか余所の大陸からまで助っ人を用意してくるとは……どんだけこのダンジョンは難しいというのだろうか。


 なんか本当に帰りたくなってきたな……。


 しかしそんな内心とは裏腹に現れた一団はやる気満々だ、早速グリフォンに攻撃を開始している。

 バーバリアン達は手にした大きな武器をグリフォンに向けて振るう、すると斬撃なのかなんなのかは不明だが攻撃がグリフォンの風の防壁へと届いていた。


 マジか、あんだけ離れているグリフォンに攻撃を?どんな怪力とファンタジーのお陰なんだよ。

 今までよりも遥かに多い物量攻撃に流石のグリフォンも怯む。


 女騎士団も負けてはいない、こちらは魔法を使える騎士、魔法騎士が多いらしくグリフォンには魔法で攻撃していた。

 それも複数人が同じ魔法を放っている、ファイアーボール的な魔法だ。


 風の防壁との相性を考えた結果だろう、防壁で防いでも爆発と熱はグリフォンも届くのか明らかにグリフォンが女騎士団の魔法を嫌がっていた。

 形成は確実にこちらの有利になりつつある。


 するとバーバリアンのリーダーと女騎士団のリーダーが動く。


「ガッハッハッ!よぉ~し……そろそろ堕とすとするか!」

「私が前に出る、翼を奪うぞ!」







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