体からポカリが出る私は異世界で最強なんだが!?
madoka
第1話
君の笑う顔を見ると、いつも泣きたくなった。
不安も絶望も押し殺して、しまい込んで、塗り固めた笑顔を私に向けてくる。
君は聡明だ。
だからこそ笑って受け流して、自らを守ることを覚えた。
いつしかそれは、私以外には見破れない最強の武器となっていた。
それが私は怖くて、怖くてたまらなかった。
この状況で君は恐怖心を抱いていないのか。
君は生きる意味を、縋る先を見つけたのか。
その部屋の中は異常に清潔に保たれていた。
大きな背もたれと肘あてが付いた椅子には白衣を着た、いかにも高学歴な男が座っている。
脚が四本生えた簡易な丸椅子にはTシャツにジーンズの少女が座っている。
「ええ、ですからシャウラさんの体は常人より砂糖、ブドウ糖、塩化マグネシウムなどが多く排出されます。」
「は、はぁ。」
「特段、生活に支障をきたすことはないでしょう。…しかし、こんな人は初めてですよ、私にもお手上げです。」
「はい。」
「ところで、どうしたんです?その痣。体中についてますけど…」
「あっ、いえ、失礼します。今日はありがとうございました。」
シャウラは自らの財布から診断料を出し、スマホを弄りながら病院を後にした。
帰り道、自分の汗について調べてみた。
医師の言う通り、前例は知らべても出てこなかった。
帰り道にドラッグストアがあったので、夜に飲む用のポカリスエットを買うことにした。
清涼飲料の隣に並ぶポカリスエットを数本手に取り、レジへ持って行った。
それを自分の持っていたエコバックに詰め、店を出た。
少女はそれとなく、ポカリスエットをエコバックから取り出し、ラベルの成分表を見てみた。
そこには、砂糖、ブドウ糖、塩化マグネシウム…知った単語が並んでいた。
シャウラはもしやと思い、自分の二の腕を舌先でなぞってみた。そのあと、手に持っているペットボトルを開け、一口飲んでみる。
酷似していた。
シャウラの味覚では判別できなくらいだった。
ーーーーもしかすると、いや、もしかしなくても、
シャウラの汗はポカリスエットだったーーーー
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