第6話 選ばれた50人
それからA館に呼ばれた
人数は50人
黒い瞳で明るく美人、
が、これ程城にいたとは
机に置かれた報告書を目にした
カールもため息が
零れてきた。
しかしカールの頭の隅を制圧
した娘はまだ少しあどけなさも
あるショートヘアの娘だった。
歳の頃は妹のフローレンスと
変わらないくらいの娘か・・・
カールは思う、そういえば
あの夜の不安気な顔をした
彼女もそれくらいの歳だったな
フフッ突然
カールの目が緩んだ
あの笑顔が忘れられない。
「せめて名前を聞いて
置けばよかった。」
カールも行く先々で彼女を
目で探していた。
「大捜索みたいな話を
聞いたぞ」
スピリニッチールR国のロレンツオ
が冷やかし半分電話をして来た。
「だれから聞いた?」
リアは不機嫌に聞き返す
「アホか!!商人迄巻き込むなら
噂は筒抜けに広がるさ
そ、そうかと納得しつつ
「デ?何の用だ」
「ハ?デって何だよ何を探して
るんだ?お前の嫁って話もあるし
騎士団長殿の嫁探しとも聞いている?
そうそうスパイって噂も聞いた。」
「フッ要らぬお世話だ」
リアは語気を強めてロレンツオ
に言った。
するとロレンッオは当たり前のようにリアに言った。
「ア、明日俺も参加するワ。」
ロレンツオの突拍子の無い発言に
「は?」
「いや、は?じゃねーよ
聞けば美人系の女ばかりと
聞いたぞ!!
俺も参加!!
いいな国同士の取り決めに
したから朝からヘリを飛ばして
行くからな!
お前も了承しろな!!アハハハハ」
ロレンツオは押し黙るリアを
無視して
「ヨロ」
そう言った。
「はぁぁぁぁ
お前こそ山奥で見初めた
山娘は見つかったのかアハハハハ」
リアも、からかいながら
バカにする。
「山娘とはなんだ💢
ちょっと前にお前の城の前で
見つけた、山で見た時より
・・か、かわイイ♡し」
ロレンツオはかなり動揺
しながらも彼女の顔が
脳裏に浮かぶ。
『もしかしたら集められた
中に彼女がいるかもしれない』
淡い期待の中
フフッ~♡
電話口からもロレンツォの
ニヤケ顔が見て取れる。。
「ん、あーハイハイ!!
山娘がいるとでも思ったか?
アホか!
まさか俺の城で働いてでも
いるとでも言いたそうだな!!
でもお前の見たのは
所詮山娘ダロアハハハハ
山羊のチチでも売りに来てたのか?
アハハハハ」
フンッ
「まあいいだろう
フフン
何とお前に言われようが
問題ない!
俺は草の根かき分けても
探し出す。
そしてオレの嫁にする。
初めて欲しいと思った女なんだ。」
と、リアがオチャラケてもロレンツオは必死に訴えてくる
彼の真剣な気持ちがリアにも
伝わって来た。
「・・分かった分かった❗
ロレンツオがそこ迄
言うのなら、気持ちは伝わった。
山娘捜索に俺も協力しよう。
いや ~ロレンツオがゾッコンなら
俺もその娘に会ってみたい。
お前の気持ちを揺るがした
山娘になハハハハハ」
「横恋慕はナシだぞ!」
ロレンツオも抑える所は
抑えたい
女の趣味は対象的だから
まあ大丈夫だろうが。
ロレンツォは頭のいい女、
リアは活発な女、
しかし2人が追っているのは・・
知らぬは本人のみだが同一人物
結局二人の好きなタイプは
同じで遊ぶタイプが
違っていただけなのだ。
次の朝ロレンツオは告知通り
朝早くやって来た
待ちきれなかったのか
朝五時にやって来て
リアの部屋のソファーで
眠っていた。
リアが目を覚ましロレンツオを
発見すると側近がロレンツオ
を起こしていた。
「ふぁぁー.。oO ⌯Д⌯あーぁ」
呑気に欠伸をすると
「やっと起きたかリア」
目を擦り擦り
いかにも待ちくたびれたように
ロレンツオが言った。
リアは呆れて
( お前も寝てたろ)!.。oO0
そうは思ったが面倒臭い
スルーして
やった。
「来るの早すぎ、まだ朝6時じゃないか」
と言うリアにロレンツオも
言い返す。す
「思い立ったが吉日
なんか会えそうなワクワク
した気持ちになったんだ
頼むぞーリア!!」
ロレンツォはあの娘が必ず
この城で働いている、そんな
気がしてならない。
ザワザワとA館に選ばれた
50人がやって来た。
野次馬は皆、見える階から窓に張り付き様子を見守っている。
フローレンスも興味津々
同期のモナ、アリサ、ドロシー
カリナも2階の法務事務室から
様子を眺めていた。
受付には何人かの騎士団の制服
を着た人が立っていた。
フローレンスもドキドキしながら
様子を伺っていると
スピリニッチールR国の旗を
掲げた車を先頭に
白バイが入って来て
高級な黒い車が次々と入って来た。
出迎えたのは騎士団長の
兄様カールだった。
キリリとした水色の肩の張った
上着に白い網のような飾り
🎖徽章が身分を表している。
「う・・ステキ」
兄様を見てアリサが呟いた
その一言にフローレンスは
ギョッとしてアリサを
見た‼️
「んんんー?⊙⊙」
フローレンスがアリサを見た時
アリサと目がつながった
「⚆⚆え?」
「あ!!」
2人が見つめ合っていると
車が止まり開け閉めする音がした。
バタンバタン
アリサとフローレンスが音に
反応し下を見る。
ギャァァァ━━━━━━━キャー♡♡
と歓声が上がる!
その風景は・・・
フローレンスの隣で
ドロシーとモナ、カリナが
バンバンと肩を叩き合い
「ロレンツオ様と
リア様よー♡」
そこに居た皆が又黄色い声を上げた。
アチラコチラからその黄色い声
は渦を巻くように響いた。
フローレンスとアリサは
「え、ああ、ああーね!」
ロレンツォにも、リアにも
2人はそれ程興味も無かったせいか
皆とは違うオドロキが・・・
「え、アリサ騎士団長様が
本気で好きなの?」
フローレンスは口をパクつかせ
ながら聞いている。
焦るアリサはそれとなく
普通に答えているつもりが何故か
声がうらがえる。
「あ、ああ、あこ、憧れてる
だけよ、私なんか
相手にされる訳ないじゃん。
フローレンスこそ
好きなんでしょ。」
「え?ああ、私も?アハハ
好きの意味が違うわハハハハ」
アリサはちょっと変な笑いを
しながら首を捻った。
「好きな意味が違う?って?」
なに?
フローレンスの一言にアリサは
引っ掛かる!
ロレンツオは青のスーツ
リアはグレーのスーツを着て
A館に入って行った。
背が高く、高貴で品がある身の
こなし色男で何もかも
カッコイイ‼️と女の子達は
キャーキャーキャーキャー
素敵
A館では5人づつ呼ばれ
緊張した女子達はドキドキ
しながら又期待しながら
2人の殿下の前に座った。
時間だけが流れアッという間に
目通しは終わった。
2人はガックリと肩を落として
A館を後にした。
スクラッチを削る時次は、次はと
期待するあの感覚と同じだ。
期待又期待ワクワクしながらドア
が開くのを待つの連続で
疲れた。
「中々の美人も居たな!」
「ああ、美人とは呼べない女も
いたぞ、なんか複雑な顔
かなりな年増もいたぞ」
「人の好みに任せるからだ!
カールに
俺は18~19と言ったのに
聞き間違えたのだな、全く!
どう見たら18?19?って
未婚だからってなぁ」
疲れた顔をしてリアがロレンツオ
を見る。
「カールがそんな聞き間違えは
しない、きっと部下が間違えたの
だろう。」
ロレンツオもカールを信頼している。
「たしかに、でも
お前好みもワンサカ居ただろう」
「ああ、居たな!
真面目に見えて遊び人な奴
全く好みじゃ無いのもいたし」
ハ━━━━━━━━━━━━ッ
2人は同時に長い溜息をついた!
「だけど違うんだよなー」
「ああ、違うんだ!!」
リアの一言にロレンツオも頷く。
Pm16:00
リアの部屋でダラダラと過ごして
いたロレンツオは読んでいた
週刊誌をパタンと閉じて
「オレ、帰るワ」
リアも資料に目を通していたが
「そうか!!
じゃ、見送りするか!!
一応客人扱いだからちゃんと
しないとな!!」
「ああ、悪いな!」
ロレンツオも期待大だったのが
空振りに終わった。
元気が無いのは仕方が無い!
ロレンツオとリアは同じ
車に乗って飛行場へと向かう。
信号は🚥ずっと青のまま
優先して車を走らせる。
2人は楽しく談笑しながら
ロレンツオが街中の横断歩道でフッ
と外を見た時、信号で自転車に
またがるフローレンスを ºロº
見つけた。
「と、と、止まれ止まれ止まれー」
運転手はウインカーを
出し車はブレーキをかけて50メートル先で止まった。
急かされても急ブレーキはかけない
プロ中のプロの運転‼️
後部座席で飛び出しそうな
ロレンツオをリアが阻止する。
「まて、ロレンツオ警備が
お前に何かあったら困る、落ち着け!」
必死で叫ぶロレンツオの身体を
リアも押さえつけていたが
ブイン、ゴンと肘鉄をくらった。
イテテ
後ろの車も静かに取り乱す事なく
つぎつぎ後に続く。
さすが訓練による訓練の成果
ロレンツオが車を飛び出した
途端、信号が変わったのを
確認したフローレンスは自転車を
漕いで夕日の沈む方向へと
消えた。
「どーうした、
ロレンツオ!!」
慌ててリアも飛び出したが
リ アが目にした景色は
赤い夕日に照らされた
ノンビリとした街の様子が
写っていた。
リアが不思議そうにロレンツオ
を見ると、気の抜けたロレンツオ
が呆然と立ち尽くしていた。
「はぁーまた逃げられた。」
とガックリとウンコ座り
「山娘か?」
リアは気の毒そうにきいた。
「ああ、彼女だ!!」
ウンウンとロレンツオも答える。
見るからにガックリと肩を
落として項垂れている彼を
リアは何となく可哀想になって
来た。
ロレンツオの肩をリアは
ポンポンと叩き
「山娘がいたのか?
アハハハハお前ついてないなぁ
ギロ
・・・・・お、スマン
とリアも怯んでしまう。
もう、諦めたらどうだ。
来週ウィリアム スミス殿の
屋敷に呼ばれてるだろ
そこで花嫁を探せよ!
山娘は山娘だ!!
皇太子の嫁には難しいぞ」
「俺が命をかけて
守る覚悟は出来ている。
彼女がいいんだ!!」
「恋人ならイケるが
皇太子妃となれば
お前の姉様が・・
反対するだろうよ。」
「・・・・・」
「お前の事、溺愛してるもんな!!
姉上の気に入った娘で無い限り
無理と思うぞ!」
「誰が決めたんだ
俺の選ぶ女性だ、誰にも口は
出させない!」
とリアを睨みつける、リアが言って
いる事が正論だと分かってはいる。
2人は暫くボーッとしていた。
しかし何人もSPに迷惑かけている
事も知って欲しい
付き合わされる身にもなれって
彼等は多分顔に出さないがそう
思ってるんじゃないかなぁ
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