第34話

水族館を出た後、俺達は国際通り周辺で有名なソーキそば屋に行った。

チャーシューっぽい感じの豚肉が脂がのってて食べ応えがあり、麺とスープもバランスが良く、とても美味しかった。


お昼を食べ終わった後は各自がお土産を買ったりして時間を過ごしたのだが・・・


「あ〜、もう歩き疲れた…」


「そうですね、お土産もたくさん買いましたし、荷物も重くなりましたね…」


そう言って疲労を訴えて始めた二人が俺の方に視線を持って来た。


「わ、わかったよ。持てば良いんだろ、持てば!?」


「流石お兄ちゃん、わかってるじゃん!!!」

何がだよ!と思いながらも渋々俺は彼女達の荷物を持つことにしたのだが今度は俺も疲れて来た。

というか、天舞音が水族館で大きなジンベエザメのぬいぐるみを買ってる時点でどうかと思うのだが…


そして遂に・・・

「悪い、もう限界だ…」


「も〜だらしないな〜お兄ちゃんは!」


「けど、みんな疲れてるのでそろそろホテルに移動して休んだ方が良いかな、と思うのですが…」

この花園先生の鶴の一声に俺と天舞音は賛同し、ホテルに向かうことにした。


タクシーに乗って約20分、今日泊まるホテルに着いたのだが、もちろん部屋割りは男女別なので俺は必然的にぼっちになってしまった。

俺は特に何もすることがなかったので試しに村松にメッセージを送ってみたのだが返事がなかった。

疲れていたこともあってそこで俺はベッドで横になることにした。


そこからはずっとぼーっとしていたのだが30分ほどくつろいでいたところで俺はハッと目を覚ました。

なぜなら隣がうるさかったからだ。

しかも天舞音たちの部屋じゃなく、その逆方向の部屋だったので余計にタチが悪い。


面倒ごとは嫌いなので自ら静かにするように頼むのではなく、ホテルのフロントに頼むことにした。


しばらくして、隣の部屋はうるさくてなり、やがて隣の人が

謝罪しに来た。

隣の人は20歳前後の容姿の若い女性だった。

「すまない、少し配信をしていたもので、、ついつい大きな声を出してしまった。」


「は、配信…ですか?」

俺は驚き呆れて口をポカーンと開けてしまった。


「そうだ!最近君の周りでも流行ってない?Vtuberってやつ」


「まさか、Vtuberの方ですか?」


「うん、その通り!」


「そうなんですね!!そうだ、実は僕もVtuberとして配信やってるんですけど、お名前教えてもらっても良いですか?Twitterのアカウントフォローしとくので!!」

初めは驚きが自分の心境の大半を占めていたのだが、この時には自分の仲間を見つけたみたいで嬉しかった。


「へ~、君もVtuberやってるんだ!?おっと、自己紹介が遅れたね、私は玄野 凛音くろの りんねって言うんだけど…一応チャンネル登録者100万人ぐらいいるから知ってるかな?…」


「え?!」


うん、さっきの発言は撤回させてほしい。

この人、僕の仲間じゃなくて大先輩でした。

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