第16話
「えーと、今部屋に入ってきた女の子はどちら様でしょうか?」
「俺の妹の天舞音です。ああ見えて俺と同じようにVtuberやってるんですよ!」
「お名前は?」
「いや、それはちょっと。本人の口からでないと・・・」
自分の妹が超人気のVtuberだってことが知られてしまったらいろいろとマズイだろう。
「そうですか、残念です。あ、すみません。急に話が変わるのですが今月の期末テストヤバくないですか?」
「え、もうそんな時期なのか?!それはマズイな、そろそろちゃんと勉強しないと。」
そうだ。もう7月だ。あと2週間ほどで期末テストが始まる。
正直キツイ。
特に数Ⅲ、あれは厄介だ。
「その〜、提案なんですが、私に勉強教えてくれないでしょうか?なんでもしますので・・・」
なんでもするって女の子が言うのは良くないとは思うのだが・・・
「別に構わないよ。まあ俺も勉強しながらになると思うけど。」
「じゃあ明日の放課後学校の近くのファミレス集合でどうでしょうか?」
「うん、わかった。」
俺は他人と一緒に勉強するタイプではないが自分のイラストレーターのためならそれくらい訳もなかった。
むしろそれが立ち絵のリメイクの対価なら足りないくらいだ。
「あっ、そう言えばまだ私大和川君に本名を申してなかったですね。」
確かに、彼女は今までずっと自分のイラストレーターとしての名前しか明かしてこなかった。
「私の名前は花園
彼女は微笑みながらそう言った。
「こちらこそよろしくお願いします。花園先生!!」
その後、彼女は俺の家から帰って行った。
そして、学校の宿題でもしようかと部屋に戻ろうとした時、俺の部屋の前に立ち塞がる妹がいた。
「あの、どいてくれないか?」
「お兄ちゃん、千夜先生のアシスタントさんと随分親しそうにしてたね。」
「え?!」
何を言ってるんだ?天舞音のやつ。
「単刀直入に聞くけどお兄ちゃん、あの人と付き合ってるの?」
「いや、全然そんなことないぞ。」
俺は普通にそう答えた。
「ふーん・・・」
ダメだコイツ、全く信じてないようだ。
「信じて欲しい?」
「そりゃあもちろん。」
「じゃあ明日の夜、私の配信に付き合ってよ。」
「配信?!どんな内容のやつだ?」
「そろそろテスト近いでしょ、だから【English Study】!」
なるほど、確かにそれだったら配信をしつつ勉強もできる。
なんならこの企画だと海外のリスナーを増やすチャンスだ。
よしっ、また機会があればやることにしよう。
「ちなみにどの辺りがテスト範囲なんだ?」
「関係詞のところ全部だってさ・・・」
関係詞か、たしかにわかりにくい部分ではあるな・・・
「わかったよ。後で正確な配信時間教えてくれよな!!」
「はーい!!」
そう言った時の天舞音の顔は本当に満足そうだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます