俺の妹は最大手所属のチャンネル登録者数150万人超えの大人気Vtuber!!そんな彼女は超底辺個人Vtuberの俺が大好きだそうです。
鯉王
第1話
深夜1時を過ぎた頃、ある動画配信サイトでは一人の”アイドル”が注目を浴びていた。
彼女は突如としてこの業界に現れ、瞬く間にその中のトップとして君臨した。
その名は
可憐な桜色の和装に銀色の髪、そして並外れたゲームのセンスとコミュ力で彼女は人気を確固たるものにしてきた。
さらに、彼女にはもう一つ、特筆すべきものがあった。
それは、、、『声』。
彼女の甘く、儚げな声は数多のリスナーたちを虜にした。
さらに彼女の声の虜になったのは声優業界もそうだった。
多数のアニメに出演し、その役を演じきった。
そんな多岐にわたる活躍もあってかデビューしてからたった三か月でチャンネル登録者数は100万人を突破し、半年後には150万人を突破した。
「これで今日の配信はおしまい、みんな見てくれてありがとう!バイバーイ!!」
そう言って彼女はライブ配信を終了した。
約20万人の彼女のファンとともに。
時を同じくして、彼女の隣の部屋でもある人物が配信を行っていた。
その配信はお世辞にも盛り上がっているとは言えず、ただただ時間だけが過ぎていくような感じだった。
彼の名は
チャンネル登録者52人のいわゆる底辺Vtuberだ。
同時接続数は15人。
彼はあまり自慢できることがあまりないのだが、唯一の救いは妹だった。
妹も兄と同じくVtuberだった。
始めるのは兄の方が少し早かったのだが妹の人気は圧倒的だった。
そう、彼の妹は
「じゃあ今日の配信は終了です、リスナーさんありがとうございました~。」
そして彼女の配信終了からそう時間が経たないうちに彼もまた自身の配信を終えたのであった。
配信が終わったあと、彼はキッチンに向かった。
そこで彼は冷蔵庫からコーラを取り出し、コップに注ぐ。
深夜のキッチンにコーラの流れる音と炭酸のシュワシュワする音だけがかすかに響いた。
そんな中、妹がキッチンに顔を出した。
「お兄ちゃん配信お疲れ~!」
「お、おう。てか
「まったく、お兄ちゃんはわかってないなー!私もう高校生1年生だよ!つまりもう三年足らずで成人するんだよ!ということは私ってもう大人じゃん!!」
よくわからないロジックをぶつけられてしまい俺は困惑してしまったが、俺は冷静になり、あえて無視した。
妹は急に静かになった。
すると妹が俺の方によって来て囁いた。
「すみません、私がバカでした・・・」
「はいはいわかったなら早く寝てくれ。」
そう言って俺は手元に置いてあったタブレットで妹の配信のアーカイブ動画を見始めた。
そして、不意にあることを呟いてしまった。
「お前、今日も可愛いな・・・」
「え、、、」
妹は赤面し、俺を見る。
「あ、ち、違うぞ、可愛いのはあくまでもVtuberとしてのお前で三次元のお前じゃないからな!」
俺はすぐに訂正を入れた。
事実俺はシスコンとかそういう類の者ではない。
「そ、そうだよね!び、びっくりした~!!」
「あ、ところでお兄ちゃん今日の配信のアーカイブ見終わったらまた何かアドバイス頂戴!!」
「前も言ったが、底辺Vtuberの俺にそれ聞くか?」
「うん!だってお兄ちゃんは私にとって最高のVtuberだもん!!」
「あ、ありがとう」
さすがにそこまで言われるとこれ以上何も言えなくなってしまった。
「じゃあお兄ちゃんおやすみ!!」
「お、おう・・・」
そう言って彼女はキッチンを出て、自身の部屋に戻った。
そして、俺はもう一度、妹の配信のアーカイブを見始めた。
一方その頃、天舞音は自分の部屋でパソコンを起動し、兄の配信のアーカイブ動画を開いた。
それを開いている最中、彼女は先程の兄の言葉を思い出した。
『お前、今日も可愛いな・・・』
彼女は呟いた。
「はあ、リアル世界の私にもあんなこと言ってくれないかな?」
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