ランドセルのひみつ・3
ズ ズ ン !
や っ て き た の は 、お ば け じ ゃ な く て 地 震 だ っ た 。
ガ シ ャ ン !
タ ン ス の 上 の 、プ ラ モ デ ル が 落 っ こ ち る 。
「 わ わ ! う わ あ あ ! 」
部 屋 の 明 か り を つ け て 、海 斗 は ベ ッ ド か ら 飛 び 出 し た 。
地 震 の 怖 さ よ り も 、プ ラ モ デ ル の 方 が 気 に な っ た の だ 。
明 る く な っ た 部 屋 の 床 に 、海 斗 は ぺ た り と 座 り 込 む 。
「 そ 、そ ん な あ あ 」
一 生 懸 命 に 作 っ た プ ラ モ デ ル は 、バ ラ バ ラ に な っ て 転 が っ て い た 。
「 か い と ! 」
よ う や く 最 後 の ひ と か け ら を 拾 っ た 時 に 、部 屋 の ド ア が 開 い た 。
ても怖い顔で入ってきたのは、Tシャツ姿の母さん。
アッという間に、パジャマをはぎ取られる。
「ほら、ぼさっとしないの!」
海斗はTシャツと、ひざ丈ボトムズに着替えさせられた。
「……」
一体、何が起きてるんだろう?
リビングに入ると、テレビの前で首をかしげるポロシャツ姿の父さん。
「お父さん、まだ何も放送が無いの?」
「というか、テレビが……あ、ついた」
居間で立ったまま、テレビを食い入るように観ている両親の背中。
父さんの肩には、ひときわ大きめの非常用持ち出し袋が背おわれて いた。
( あ、そうか地震……ひなんするんだ……)
プラモデルがこわれた事しか頭になくて、ついさっきの地震を、やっと 思い出す。
( 学校、休みになるのかなあ……)
数分後。 家の外を行き交う消防車、救急車やパトカーのサイレン。
観たことのない深夜ドラマの上部に、速報ニュースのテロップ。
「よしもり小学校近くで火災発生」の文字が横スクロールしていく。
よしもり小学校とは、海斗が通っている海沿いの小学校だ。
裏手に、大きな森がある。
「……良かった。津波はこないらしい」
いくつかのチャンネルを変えて、地震情報を探しつづけるけれど、火 事以外のニュースがない。 父さんはテレビの電源を切ると、近くのソファに腰を下ろした。
「勘弁してくれよ……スマホまで圏外になっていたんだぞ」
足元に非常持ち出し袋を投げ出し、ぐったりと寝ころぶ。
「変ね……震源地の情報もないみたい。どうなってるのかしら」
SNSをはしごしたみたいだけど、スマホを持ったまま、母さんは大き なため息をついた。
ぐったりとシステムキッチンによりかかる。
「母さん、麦茶を出してくれないか……のどがカラカラだ」
「……はいはい」
海斗は身体の力が抜け、背負っていたリュックサックを、そっとおろし た
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