再生少女

@ugen0711

第一章

第一章1「13番と白光」

 少女は早いうちに両親を事故でなくしていた。不幸中の幸いお金なことに余裕があったので、一人しかいなくなったが、平穏に暮らしていた。

 ある日、少女に特殊能力のようなものが現れる。それは・・・



…………………………………



 17歳になった少女、改めフユリは、なんとなく旅に出た。親がいなかったせいでこの世界のことをほぼ知らないが、そんなことは気にしていなかった。家からぐっと西に進むと、小さくはないが大きくもない村と呼ぶべきか、町を呼ぶべきか、そんな所のシンボルのような噴水の前に立っていると、

「あなた、見ない格好してるね、どこの人なの?」

後ろから急に同世代っぽい人の女性が話しかけてくれた。その質問に対してどう答えればよいかわからない。、

「言えないのね、別に言わなくてもいいよ、誰にだって秘密はあるし。それより、あなた、何をしていたの?」

「いえ、別に何も。」

「教室にはいかないの?あなた、わたしと同い年くらいだよね?」

「教室?なんですかそれ。」

「え。知らないの?魔術養成学校だよ?義務教育だよ?」

へー、そんなものがあるんだ、知らなかったな、ていうか魔術なんて概念知らなかったぞ、これも親がいなかった弊害か。でも一つの疑問が浮かんでくる。それを言葉にしようか迷ったが、

「わたしは教室?とやらは知らないけどあなたは知ってるんだよね?しかも義務教育だって話だし、あなたはどうして行ってないの?」

聞かないほうがよかったかな。相手にも何か理由があるはずなのに。

「わたしは・・・命令されるのが嫌で・・・」

この子は何を言ってるんだろう。回答になってないと思った。

「ん?どういうこと?命令?」

「わたしは独学で魔術を使えるようにしたいんだ。授業とか聞いてると先生が偉そうだから、それが嫌で・・・」

なるほど。確かにわたしも上下関係なんてめんどくさいなあと思う。もしかしたらこの人となら気が合うんじゃないか?と思い、

「なら、わたしも協力させてよ!なんか楽しそう!」

「え?」

「自己紹介するね!わたしはフユリ17歳だよ!あなたは?」

「わたしはミナ。同じ17歳だよ。でも、いいの?けっこう難しいよ?」

「大丈夫!大丈夫!わたし、記憶力は結構自信あるから!」

「まあ、いいやとにかくあなたがどんな人かわからない以上一緒に勉強もできないよ。最初の質問、今なら答えれる?」

最初の質問ってなんだっけ。あーどこの人って話か。

「わたしは遠くの東からきたよ。」

「目的とかがあってここに来たんだよね?」

「ううん、適当に旅してたらついたのがここってだけだよ。」

―――気まずいな、あ、親の子と言ってないからか。

「ごめん、ちょっと誤解がある。わたし、親が小さいころからいなくて、やっと旅ができるくらいになったから外に出たの。」

「あーそういうことね、それ先言ってほしかったわ。実は私も、家族とはほぼ会えないんだ。お母さんは10年くらいずっと旅から帰ってきてないし、お父さんは―――」

「お父さんは?」

「養成学校の先生なんだ。わたしは学校に行かないから、かなり仲が悪いんだ。」

「なるほど、結構私と似てるね?」

「まあ、そうだね。」

「話しかえるけど、どうやって魔術を勉強するの?っていうかこれが本題か。」

「あーそれなんだけど、まだ決まってなくてね、旅に出るのが、最善だけど、危険もあるから今までずっと迷ってたの、でも二人ならなんか行けそう!」

「おーたしかに、で、もう一つ教えてもらいたいことが、、、」

「何?」

「この世界のことについて教えてもらってもいい?」

「は?」

 ミナには自分は親がいなかったせいでずっと引きこもっていて、この世界のことを全く知らないということを伝えた。結構引いてたけど、なぜか同情してくれて、丁寧に教えてくれた。魔術のことも、タロットのことも。

「――――っていうことだよ。」

「おー。なるほど。つまり魔術は大事ってことだね!」

「話聞いてた?」

「聞いてた聞いてた!」

「じゃあ、明日出発でいい?」

「もちろん!」

 この旅をきっかけに悪夢は始まる。



……………………………………



 フユリとミナは魔術の訓練として、洞窟にこもっていた。すると正面、それもずっと奥から声がする。

「私は、13番正位置担当、、、トル・ブラッドだ。」

誰かはわからないけど明らかにやばい奴という危険信号を感じる。左を見るとミナは目を見開いて、まるで死にそう顔をしていた。

「ねえ、、、ねえってば!!」

「あぅ、あぅ、フユ、リ、逃げて、、」

「面白い。少し遊んでやろう。」

「ど、どうせ殺すくせに!!」

なるほど。あいつは敵で、しかも強い。どう打開する?

「来るよ!!!」

速い。洞窟が暗いことも相まって相手が全く見えない。

「グラシエス!!!」

鋭い氷柱が13番へと向かう。それをおもちゃのように躱す13番。

「なんだ、その程度か。上のやつは何を勘違いしてるんだ?」

と、言葉を放った瞬間、13番がミナの後ろに回り、気絶させる。

「ミナ!!!」

返事がない。

「フラマ!!!」

なんとなく炎魔法を撃ってみたが、、、ん?効いているのか?いや、そう思った時には―――

「はっ」

騙された。単純な戦法だった。相手を油断させる。そんな簡単な戦法で。

「何が目的なの?」

意味があるかどうか分からないが、時間稼ぎを試みる。誰かが来てくれればなあ。そんな気持ちで。

「目的?そんなこと考えてるのか?つまんねえな。全部目的があったら自由にできないだろ?だから人間は嫌なんだ。」

―――直後、白い光が洞窟全体を包み込む。



何が起きた?13番は?この光は?

「大丈夫だ。安心しろ。」

そこには、白い髪をした青年が立っていた。

「ミナは?」

「そこに倒れている彼女かい?大丈夫だ。彼女は気絶しているだけだ。」

「あなたは、誰?」

「僕は、『白光』と呼ばれているよ。名はライ。」

「13番は?」

「逃げられた。あいつらは殺さないと、碌なことをしない。」

なるほど。助けてもらったわけか。しかもこの人、めっちゃ強いな。ミナの歯が立たなかった相手を簡単に追い払ってしまう。逃がしてしまったって感じの雰囲気だな。うっ、慣れない魔法を使ったせいで、心臓が、痛い――――。



―――――――目を覚ますと、さっきの洞窟にいた。あれ、死んでない。それより、ミナは?周りを見渡すとそれらしき少女が倒れている。確信する、少女はミナだと。

「ミナ!!!起きて!!!起きてってば!!!!」

「うっ、うー、え?ここは?」

「さっきの洞窟だよ、覚えてる?」

「うん、えーと、たしか13番が、――――っ!!!なんで死んでないの?!!」

「え?どういうこと?落ち着いて。たしかにやばい奴っぽかったけど。白光とかいう人が助けてくれたから。」

「白光?――――――っ!!!白光って言った?」

「うん。知り合い?」

「この国、いや世界で一番強いって言われてる人だよ!!前教えたでしょ!!」

あー微かに記憶に残ってる。この世界には数字を名乗るタロットチームがいると言っていた。それと、最強の、そうか、あいつが、

「うんうん。思い出した。まだ気になってる部分があって、ミナがさっき言ってた、なんで死んでないの?ってやつ、どういうこと?13番はどんな奴なの?」

「まだ教えてなかったけど、タロットには正位置担当と逆位置担当っていうのがいて、あいつはどっちって言ってた?ごめん記憶があいまいで...」

「たしか、正位置って言ってた。」

「っ!あいつはタロットチームでもやばい奴で、あった人を全員終了させるって言われてる奴なんだ。」

「終了ってどういうこと?」

「タロットチームは魔術とは違う能力を全員持っていて、その13番正位置の能力が終了ってこと。その名の通り、終わらせる。正位置と逆位置によって能力は違うよ。疑問なのは、私たちが終了すなわち死んでないこと。」

たしかに、それは疑問だが、

「ラッキーじゃん。なんか生きてたって感じ。」

「それはそうだけど...。」

―――――――

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