始まり

第1話 転生

とある地下大迷宮の最深部・・・そこに傷つきボロボロになった1匹の龍がやって来た。

翼は折れ、鱗は剥がれ落ち、左腕は千切れかけている。満身創痍なのが見てわかる。


「奴ら想像以上に力を付けておる・・・だが私は諦めんぞ・・・こいつに我が名を託すとしよう」


龍は力を、己の卵に注ぎ込んだ。そしてしばらくして力を使い果たしたのか龍は、眠る様に石化して長い眠りについた。






卵があった場所は、何も変わらず岩と苔と小川だけが残っていた。

だが長い時を経て遂に卵にヒビが入りだした。


ゆっくりとだが卵の中の子供が殻を破っていく。


数秒後には卵の殻が、破れ中から小さな子供の竜が出てきた。

竜は此処が何処か分からない様子で当たりを見回し始めた。

この竜の誕生は終わりの始まりであり後に終焉伝説として語り継がれる事は誰も知らない。




暗い。

何も見えない。

…ここは…何処だ?

あれ?何で暗いんだ?

それに何も思い出せないぞ・・・何故だ?

てか、なんか浮いてる?

取り敢えず体が動くか試してみよう。

まずは今の状況が、どうなっているのかを正確に把握しないとな。

 

3分後


ダメだこれ、状況を把握しようとすればするほど何がおこっているのかわかんなくなってきた。

 

頭を確認しようとしたけど壁っぽい何かに当たって触れなかった。

表情を作ろうとしたけどまるで表情筋そのものが無いかの様に動かせない。

 

そして足、足の指が減っている感じがする。

一応問題なく動かすことが出来る。


最後に腰、これが一番違和感があった。尻尾がある。

うん、本当に驚いたよ。

しかも違和感なく動かせるという不思議。


分かったのは俺がもう人ではない何かになっている事だ。


取り敢えずこの壁を殴って外に出よう。


殴ってみるが意外と柔らかい。これならすぐに出れるだろう。

 

2分後


よしヒビが入った!後はここ目掛けて殴るだけだ!


ヒビは拡大していき遂にピキっと音を立て壁は急に崩れた。


ちょっ!体勢が!


俺はそのまま壁の外に放り出され地面に叩きつけられる形で外に出た。


まず壁の外に出た感動よりも驚く事が、あった。


それは自分の腕に黒い鱗がビッシリと生えていたことだ。そして俺が出てきたのは卵だったってことだ。


卵・・・鱗・・・爬虫類?それに背中に何か付いてる気がする。


取り敢えず喉が渇いた・・・あそこに小川があるな。飲んでも大丈夫かな?


俺は水を飲むため小川に向かう。二足歩行じゃなくて自分でも気がついたら四足歩行になっていた。だが気にしたら負けだ。


水に写ったのは小さなトカゲ・・・いやドラゴンだった。


「キュィィ!?」


えっ!?ドラゴン!?これが俺!?てか声可愛いな!?


「キュィィ・・・」


本当に俺ドラゴンになってる・・・それも子供のドラゴンにだ。


と言うことはだ。俺は異世界に転生したんだろう。いや絶対にしてる。

異世界ならステータスとかがあってもおかしくない。もしかしたらこの世界にもあるのではないか?


俺はステータスと念じてみると目の前に文字の羅列が出てきた。


種族子黒竜stage1

名前オメガ

level1/5

HP30

MP20

攻撃力20

防御力10

魔攻15

魔防20

素早さ30

ランクG-

スキル

鑑定level1 ベビーブレスlevel1 噛みつきlevel1 竜の尻尾level1 世界の声level1 闇魔法level1

固有スキル

竜鱗level1 終焉の加護level3 異能喰らいlevel1

称号

転生者 終焉龍の息子 竜族


(子黒竜stage1G-)

黒龍種の幼体。

黒い鱗と闇属性の魔法を扱うが、ゴブリンに毛が生えた程の強さである。

龍種の子供は、非常に非力で成長するまでに他の魔物や冒険者に狩られる事が多い。

だが他の龍種は親がある程度育つまで守ってくれるが白龍種と黒龍種だけは親は、卵を産み終えると何処かへ旅立ってしまうため黒龍の幼体が生き残る確率は低い。


・・・へ?俺育児放棄されてるの?マジかよww人生、いや竜生ハードモードじゃん・・・笑えねぇ・・・どうやって生き残るんだよ。


それにここには苔と岩しかない・・・食べれる物を探さないと・・・俺が勝てる奴居るかな・・・っと彼処が外に続く道か?


俺は外に出れるのかと思い道を、進むが違ったようだ。そこは洞窟の中の様だが、天井が見えず平原が広がっており森まであった。そして薄らとだが太陽?っぽい何かが照らしていた。


ここ本当に洞窟なの?


(解、ここは大迷宮エラエスト・コントロナです)


え?誰!?誰が話してるの!?


(解、スキル世界の声で話しています)


世界の声・・・そんなスキルあったな。てか大迷宮エラエスなんちゃらって言うんだなこの洞窟。


迷宮の詳しい説明お願いできるか?


(了解、速やかに表示します)


(大迷宮エラエスト・コントロナ)

世界で5番目に巨大な大迷宮。階層ごとに外と変わらない生態系が築かれている変わった迷宮。

人類は現在は3階層まで探索できているが、それもほんの一部で賢者が調べたところ8階層まで確認されている。


なるほど洞窟なのに外と変わらない生態系が築かれているのか。とりあえず生き残らないとな・・・転生数分でハードモードすぎるだろ。

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