幸福サブスクリプション

きっと楽しいことも辛いことも、現実には平等に存在しているんだろう。ありていな結論はやっぱりありていなだけに的を射ている。そしてその平等なイベントに、私たちは首を突っ込んだり引っ込めたり、または引きずり込まれたりするんだろう。


 だからこそ問題は、そんなイベントをどう解釈するか、に尽きるんだ。ブルーバードよろしく、完全無欠の“幸福”そのものなんて、絶対に存在しないから。童話の兄妹が、青い鳥を「幸福」だと見立てたように、私はこの状態を、妹はあの状態を、とりあえずの「幸福」に仕立て上げた。それだけだから。


 ——そうなら、やっぱりここらで大概にして、打ち止めにしちゃいたい。


疲れた——んじゃない。厳密には……そう、くだらなくなった。ああ凄い。本当にくだらなくなった。


たとえ次の「幸福」が身近なところにあったとしても、こんな世界のどこかにあったとしても、よりにもよってこんな日常の中でそれを探さなくてはならないこと自体が、わざわざコストをかけて嫌な思いをしてまで考えなくちゃいけないこと自体が、もはや馬鹿げている。


くだらない。


やっていられない。


いやでいやでしょうがない。


何度も何度も、痺れる全身に確かめる。




 そうして私は産毛を剃る時と全く同じ、解説にも及ばない心情で、太ももの内側、深い深いところを摺り上げた。

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