第2話 就任式

一城はアパートに戻った。


大家「あら、お帰りなさい。どう、就職先見つかったかい?」


一城「まあ一応・・・・・・ちなみに払っていない家賃っていくらでしたっけ?」


大家「4万×4か月だから16万だね。」


一城は胸ポケットから札束を取り出した。


一城「えっと・・・・・・今月分の家賃含めて20万でいいですか?」


大家「えっ!?その札束は一体?」


一城「明日から県知事になるので。その契約金です。後、今日でこのアパートを出ていきますので。今までお世話になりました。」


大家は一城から20万を受け取った。


一城「では、おやすみなさい。」


一城は部屋に戻った。


大家「あの子、県知事って・・・・・・何言っているのかしら?」


一城は布団に寝転がった。


一城「これからギャンブル人生が始まるのか・・・・・・前の知事がワースト1だとするとそれより強い人が数百人ほどいるのか。今の俺の能力は相手の心理を読み取ることしかできない。来週までに戦略を考えておこう。」


次の日から約1週間、一城は県庁近くのマンションに引っ越した。引っ越した翌日、茨城県庁では県知事の就任式が始まった。就任式にはメディアや県民などたくさんの人が集まっていた。


赤奈「それでは新知事、抱負を教えてください。」


一城「はい。(いやいやなにも考えていないけど!)」


一城はしばらく考えた結果。


一城「3年で、この茨城県を序列1位にします。」


県民たちはざわついた。


一城「(あれ?すごいざわついている・・・・・・)」


?「あの人、すごい・・・・・・」


就任式が終わり一城たちは職場に戻った。


赤奈「ちなみに一條知事、ギャンブル課のメンバーはどうしましょう?」


一城「ギャンブル課?」


赤奈「はい、実は県知事だけではなく毎年2回行われる資金戦ではギャンブル課4人と知事、合計5人で戦うため必要なのです。」


一城「ちょっと待って。だったら今までの役員を用意すればいいのでは?」


赤奈「それが・・・・・・今までのギャンブル課がみんな辞めてしまいまして・・・・・・」


一城「やめた!?」


赤奈「まあ、給料はいいですが何分精神を使う仕事なので。それに運も必要なので誰でもいいわけにもいかないですし。」


一城「しょうがない・・・・・・俺が自分で探すしかないか。」


赤奈「では、私もお手伝いします。」


一城「赤奈さん。じゃあ早速チラシ作りだ!」


赤奈「承知しました。」


2人は数時間かけてポスターを作り出した。そして、配りながらギャンブル課のメンバーをスカウトすることにした。


一城「仕事探していませんか?よろしければギャンブル課に入りませんか?」


男性A「ごめんなさい。私そこまで精神強くないので。」


一城「そうですか・・・・・・(やっぱ最初はこんなものか・・・・・・)」


赤奈「もしよろしければ話だけでも」


男性B「こっちも仕事中なんだ!」


赤奈「申し訳ございません。」


一城「就活中の君たち、よければどうだい?」


男性C「いえ、僕は事務に入る予定なので・・・・・・」


女性A「私も、ギャンブル課は危ないってお母さんに・・・・・・」


一城「そこを何とか!」


男性C「すいません。」


一城「はあ・・・・・・やっぱり人集めって難しいな・・・・・・」


それから数十分間粘ったが誰一人話を聞く人はいなかった。


一城「赤奈、そっちはどうだ?」


赤奈「申し訳ございません。こちらもすべて空振りです。」


一城「どうすればいいんだ。せっかく知事になれたというのに!」


赤奈「今までのギャンブル課の人にも連絡を入れましたが音信不通でして。」


一城「しょうがない。また次の作戦を考えるしかないな。」


2人が諦めて帰ろうとしたその時、1人の赤髪ショートの少女に声を掛けられた。


?「あの~」


一城「はい?」


?「そのギャンブル課ってまだ空きがありますか?」


一城「という事は・・・・・・君もしかしてギャンブル課希望かい?」


?「えぇ、そうですが。」


一城「でも君、今何歳?悪いけど高卒以上じゃないと受け付けられないんだけど。」


女の子は頬を膨らませながら


?「私は18歳の高卒生です!」


一城「そうか・・・・・・ごめんな。」


恵「全く・・・・・・あっ、私「愛原恵(あいはら めぐみ)」と言います。」


赤奈「ちなみに今まで就職経験は?」


恵「私、大学を目指していたのですが落ちて今浪人中です。」


一城「そうか、でも・・・・・・このまま採用させるわけにはいかないよな・・・・・・」


赤奈「ではこうしましょう。ポーカー5本勝負で勝てば採用ということで。」


恵「ところで、ポーカーって何ですか?」


一城・赤奈「えっ?」


恵「その、ポーカー?というのを教えてもらえませんか?」


赤奈「承知しました。」


赤奈は恵にポーカーのルールを教えた。


恵「ありがとうございます。では、やりましょう!」


ホログラムの台が現れた。


一城「君の実力、どれほどのものか見せてもらうよ。」


一城が5枚手札を引いた。


一城「(なるほど・・・・・・じゃあこのカードをチェンジして)」


一城は3枚チェンジした。


恵は2枚チェンジした。


一城「じゃあ俺からだな。3カードだ。{手札♥8・♠8・♣8・♠J・♥3}」


恵「えっと・・・・・・黒瀬さん。これでいいんですよね。」


赤奈「どれですか?」


恵「このカードの役です。」


赤奈が恵のカードを見ると


赤奈「え!」


一城「どうした赤奈?」


赤奈「この勝負愛原さんの勝ちです。」


一城「俺は3カードだけど、愛原の手札は?」


恵「えっと・・・・・・これって、ロイヤルストレートフラッシュですよね?」


一城「ハートの10・J・Q・K・A・・・・・・間違いない・・・・・・」


恵「やった~!私の勝ちだ!」


一城「まさかいきなりロイヤル出すなんて・・・・・・」


一城はトランプをしまった。


恵「え?もう終わりですか?」


一城「愛原さん。合格だ。」


恵「え、本当ですか?」


一城「ああ、君の運の良さはよくわかった。これからよろしくな。」


恵「はい!よろしくお願いします。3年で序列1位を目指して頑張りましょう!」


一城「え、あの挨拶聞いていたの!?恥ず!」


一城たちは新たなメンバー「愛原恵」を迎えることにした。


一城「いや~きみみたいな逸材が見つかってよかったよ。」


恵「逸材、ですか?」


恵はきょとんとしながら一城の顔を見ていた。


第2話(完)

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